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2011-10-18 00:00
(連載)「ウォール・ストリート占拠」デモは、歴史的運動となるか?(2)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
世界でトップの大企業が世界人口80%の資産の2倍以上の富を得ていることは知られている。米国では1930年までに、約200のトップ企業が国の50%の富を得ていた。1990年後半までには、5万以上の多国籍企業が存在するようになる。1810年代「企業も、個人と同様、富を追求できる自然人と同じ権利がある」とし、米国最高裁は「米国憲法改正法第十四条に基き、企業も人である」と認めた。この法は次第に企業経営者の責任義務を減少させ、法律の網を潜ることも含めて手段を選ばず、莫大な資金力と権力を握る結果になった。また、企業弁護士は、ビジネス利益の歯止めになる基準や法令を阻止するため、政府に圧力をかけることが可能なまでの権力を得るようになった。つまり、憲法の保証により、企業は利益のためには様々な要求を満たすことが可能になったわけである。
更に、米国最高裁は昨年1月「特定の政治家に選挙資金を無制限に寄付できる」と決定した。この判定は、主な石油会社、保険会社、ウォール・ストリート金融機関にとっては大勝利となり、米国市民の声を政治から遠ざける要因になった。次ぎに、議会は「天下り法案」を通過させた。現行法下では政府役人の天下りは、1年間の待機期間を設けるか、または政府役人との個人的接触を禁止するなどの制限があるが、実際にはこのような制限は、政策関連の高官には適用されていない。この「天下り法案」により、大企業は政府高官の退職後の裕福な生活を保証するシステムになっている。更に、企業はロビイストを政治家との交渉にあたらせ、法律制定に直接関与する。こうして政治家は、大企業の代弁者になっているのである。
オバマ大統領は10月6日「米国民は、ローンの負担で、多くの人が家や仕事を失うなど、全米で莫大な損失をうけ、1930年代の世界経済大恐慌後、最大の金融危機に直面している」と述べた。クルーグマンも同様の意見を述べ、「政府は国民の税金で金融業界を救済しているが、今だに経済危機から脱出していない」と指摘している。加えて、失業保険、社会医療、養老年金などを含む「社会保障制度の削減や赤字予算など重大な問題で、社会全体が経済恐慌に直面しているため、デモ参加者らがこのような問題を公的論争として提起した」と述べている。「ウォール・ストリートを占拠する」デモの実態を要約すると、参加者は教育を受けた若者が多く、学生や活動家グループなどであるようだ。彼らの不満は、経済格差、銀行への財政援助、金融業界に対する規制の欠如である。
要求していることは、ウォール・ストリート犯罪者への取り締まりの強化、会社を「個人と同じ身分」としている法律の改正、無制限となった選挙資金に関する憲法改正、天下りに関する法改正などである。前半で記述した「政府が金融規制しないことに問題があるからだ」という点であるが、金融規制に関しては、難しい問題がある。なぜなら、財政問題に関しては、保守派のグループが規制緩和を推進し続けていて、1980年以降加速しているのが現状だからである。金融機関に対する規制が緩和されると、米国司法省や証券取引委員会などのような政府の取り締まり機関は充分な予算を組むことが不可能になり、充分な予算なくしては充分な取り締まりをすることも困難になるからである。このような機関は、充分な証拠のないまま金融犯罪ケースを起訴することを嫌う。予算不足、規制緩和、および証券取引委員会の監督不足が、違反を調査し、起訴する能力を弱体化させる結果になっている。世界各地の950箇所以上の地域にも影響を与えている米国のデモが、以上のような現状を変える歴史的運動となるかどうか、今後の動向が注目される。(おわり)
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