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2011-10-17 00:00
ミャンマーでの政治囚釈放について思う
大沼 瑞穂
東京財団研究員・政策プロデューサー
「ミャンマーで政治囚220名が釈放された」とのニュースが、世界を駆け巡っています。アウンサンスーチー氏が軟禁を解除されてから1年余り。ミャンマー内でそろりそろりと民主化への道筋ができようとしているのでしょうか。それとも、これは国際社会の制裁をとくためのミャンマー政府の一瞬の目くらませなのでしょうか。慎重に見ていかなければならないでしょう。
今回の政治囚釈放への判断の背景には、ミャンマー政府内で、民主化を推し進めようとする勢力とそれに反対する勢力の間の激しい政治対立があったに違いありません。中国の天安門事件では、民主化に好意的だった趙紫陽はじめとする指導者は、最終的に次々と失脚に追い込まれていきました。民主化を推し進める大統領勢力と軍との対立が先鋭化せず、今回の政治囚釈放がミャンマーでの民主化へのソフトランディングへの着実な一歩になることを願ってやみません。
ミャンマーの民主化問題は、北朝鮮を含む東アジア全体にも影響を及ぼしていくものと思われます。中国と国境を接しているミャンマーは、中国依存からの脱却という意味でも、民主化を進めようとしています。北朝鮮でも、ミャンマーのやり方は注視されていることでしょうから、今後の北朝鮮と米国などとの交渉においても、ミャンマーの動向は引き続きしっかりと見ていかなければなりません。
日本政府も、こうしたニュースを捉えて、積極的に世界に向かい発信していくことが大切です。特にアジアの国々のこうした動向については、民主主義、人権、平和といった価値をいかに共有の財産として築いていけるのかが鍵となっていきます。日々の発信力の積み重ねこそが外交の土台を作っていくのだと思います。
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