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2011-10-17 00:00
(連載)「ウォール・ストリート占拠」デモは、歴史的運動となるか?(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
「ウォール・ストリートを占拠する」デモは10月17日で1ヶ月目を迎え、ようやくメディアも注目するようになってきた。デモの波紋は全米約200都市に拡大し、著名人、政治家、その他マスコミからの痛烈な批判など喧喧囂囂たる報道が目立つようになり、一部の金持ち層と一般の市民層との間に亀裂が生じる「階級闘争」の色彩が顕著になってきている。金持ちはデモ参加者らを1960~70年代のヒッピーと同類視し「デモの目的が明白ではない」と批判しているが、実際はその標的と目的は明白である。抗議は金融業と企業に向けられていて、腐敗した金融システムと、金力を乱用した企業が政治を操るシステムの変革を望むデモであることは厳然としている。「米国のアラブ・スプリング戦術」は歴史的に重要なイベントになると思われる。
「ウォール・ストリートを占領する」運動に最も困惑を示しているのは、富豪層と一部の投資家である。10月5日から、これ以上このようなデモを黙ってみているわけにはいかず立ち上がったと思われる数名の投資家が「1%を代弁する」ため、「ウォール・ストリート占拠を占拠する」運動を開始した。警察は現在のところ黙認しているが、これが1%の逆襲に結びつくかは不明である。ウォール・ストリートが貪欲だとしてデモに参加している人達に対して、1%の代弁者が反逆するポイントは、「現在の米国の金融システムは、ウォール・ストリートに問題があるわけではなく、政府が金融規制しないことに問題があるからだ」という。
抗議の標的にされている「1%」は、「抗議の対象を間違っている」として、9月末には、ニューヨーク市長、マイケル・ブルームバーグ氏も、「銀行家には、年間4万から5万ドル程度の収入でぎりぎりの生活を強いられている人達もおり、99%の抗議者らと銀行家との間にはさほどの違いはないため、不景気の原因を銀行家に向けるのは間違っている」と述べている。一方、10月12日の『ニューヨーク・タイムス』紙によると、ノーベル賞受賞経済学者ポール・クルーグマンは、同紙記者の報告を引用し、「2010年の銀行員の平均年収は約36万ドルであったのに対し、民間企業の平均収入は6万6千ドルで、5倍以上の差があった。30年前の両者間の差はわずか2倍であった」ことを指摘した。これは、経済格差が拡大したことを裏付ける数値である。
IMFの研究グループは今年4月、グローバル的な経済格差が経済回復を妨げる要因になっている可能性を報告していた。IMFグループによると、米国のここ数十年の経済格差の拡大は、1920年代の状況に良く似ていて、いずれの場合も貧困層による銀行からのローン借入れが多く、金融危機に直面したという。IMFグループは「世界各国で経済格差が重要な問題となっており、米国も金持ちは益々金持ちになる一方で、一般の米国人は収入の増加がないばかりか、減少している状況が30年以上続いている」と述べている。現在の「ウォール・ストリートを占拠する」運動は、まさしくこの歪んだ経済構造の反動であり、フラストレーションの表れである。(つづく)
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