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2011-10-11 00:00
(連載)アフリカのリーダーが示す光と影(1)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
今年のノーベル平和賞に、リベリアのエレン・サーリーフ大統領が選出されました。サーリーフ大統領は、2005年の選挙で勝利し、2006年に大統領に就任しました。1984年、ギニアビサウでカルメン・ペレイラが、アフリカ初の女性大統領となりました。しかし、これは軍事政権からの民政移管にともなう臨時大統領職で、しかもわずか数日で軍事政権によって解任されたため、実質的にはサーリーフ大統領がアフリカ初の女性大統領といってよいと思います。
1990年代、リベリアを含む西アフリカでは、冷戦終結後の国際情勢の変動や、経済状況の悪化を受けて、各地で内戦が相次ぎました。このなかで、少年兵の問題や小型武器の蔓延、さらにエスニック・クレンジングと呼ばれた虐殺行為がクローズアップされました。リベリアの内戦は小康期間をはさんで、1989年から2003年まで継続しました。内戦終結の直後に就任したサーリーフ大統領は、勤務経験のあるUNDPなどの支援を受け、戦闘員の社会復帰や女性の社会参画で高い評価を得てきました。それが、今回のノーベル平和賞受賞に繋がったのです。
ノーベル賞の各賞のなかで、平和賞はとりわけ政治色が濃く、ノルウェーひいては西側先進国の意向が反映されやすいのですが、それでもアフリカの女性が同賞を受賞したことは、率直に言って評価すべきことだと思います。アフリカでは、紛争などの非常時にはもちろん、平時においても、日常的に女性の権利が侵害されています。配偶者の死後、その弟などに「財産」として相続される、あるいは財産相続権が保障されない、土地利用が制限される、親族によって姻戚関係を決定される、などなど。列挙し始めると、かなり長文のリストになってしまいます。
このような女性の権利の制限は、主に慣習法と呼ばれる、国法と異なる法体系によって正当化されています。慣習法とは、エスニシティ(民族)などの単位で、昔から適用されてきた決まりごとの総称です。その運用は、エスニシティの首長が担うことが多く、さらに成文化されていないことがほとんどです。いわばローカルな社会規範やルールである慣習法は、しかし時に国法とバッティングします。例えば、多くのアフリカの国では、憲法で両性の平等がうたわれていますが、慣習法では一夫多妻制がいまだに認められています。国法と慣習法の間にあるこのような齟齬は、多くの場合、等閑視されています。(つづく)
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