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2011-10-03 00:00
政府・国民一体となって、普天間問題の解決に取り組め
湯下 博之
元駐フィリピン大使
野田内閣が発足した。自民党政権、民主党政権を通じて次々と短命内閣が続き、内政・外交共に日本の政治は地に落ちた感がある。今度こそ安定政権になって、日本の再建を主導して欲しい。今、日本の政治には、東日本大震災からの復旧や東京電力福島第一原子力発電所の事故対策のように、一刻を争う緊急の問題がある上に、財政再建や日米同盟のように、これ以上対策を先延ばしできない根の深い懸案等、深刻な問題が山積している。
幸い野田総理の基本姿勢は、これらの問題に正面から真剣に取り組もうとするもののように思われ、是非日本の立て直しのために全力を挙げていただきたい。しかしながら、一定期間内にそれなりの成果を生まないでいると、期待外れに終わることになりかねない。上述の諸問題はいずれも放置できない問題で、早急な解決が望まれるが、先ず政党間で議論を経て意見の一致を見る必要があるものについては、直ちに具体策の実施というわけに行かないのはやむを得ない。
その点、日米同盟や日米関係をがたがたにし、日本の安全保障や近隣諸国との関係にも害を及ぼし、先の日米首脳会談でも結果を出すことを要請された米軍普天間基地移設問題は、そのような問題がなく、直ちに具体策に取り組める。何故なら、日米間で合意された案は、もともと自民、公明両党の政権が米国と合意したものを民主党政権が実施するものだからである。
鳩山政権の失敗により、沖縄県民に感情的な問題があるといわれるが、訪米を終えた野田総理は普天間問題で沖縄県対策に動き出したと報じられた。この問題の早期打開が実現すれば、日本の対外関係にとっても大きな好影響が及ぶことは間違いない。更に、国を挙げての難問解決の第一弾となることも考えられる。この問題解決の努力は、野田総理のお手並み拝見といった態度ではなく、日米合意の当事者であった自民・公明両党はもとより、国民全体として沖縄県民に働きかける必要がある。
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