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2011-09-26 00:00
(連載)9.11テロ事件を口実に歴史を逆流させたアメリカ(1)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
今年が9.11テロ事件の10周年に当たるということで、最近この事件とその後のアメリカの行動、すなわちアフガニスタン戦争・イラク戦争が、何かと話題になっている。しかしこの事件とその後のアメリカの行動が、世界史の進歩・発展に与えた重大な悪影響については、殆ど注目されることがない。それは世界の歴史の進歩と言うものを、客観的に見てゆかなければ分からないからだろう。
第二次大戦後の世界史の大きな転換点は、今から20年ほど前の、いわゆる「冷戦体制」の崩壊である。戦後の世界においては、資本主義体制と共産主義体制の深刻な対立、具体的にはアメリカとソ連の対立関係が続いた。しかし、ソ連が自滅して共産主義でなくなり、ソ連を含めた東欧諸国が民主化され、ソ連やユーゴスラビアといった多民族国家が解体して、民族独立が実現した。世界史の進歩の目安である、民主化と民族独立が東ヨーロッパでは見事に実現したわけである。そしてソ連の崩壊によって、アメリカは唯一の超大国を自負するようになる。
ただし、世界にはまだまだ民主化と民族独立が実現していない広汎な地域があることを忘れてはならない。それは東アジアある。東アジアでは、ソ連の衛星国であったモンゴルが民主化しただけで、中国・北朝鮮・ベトナムといった共産主義国家が、厳然と存続している。また中国は、その内部に多数の異民族を支配する、民族の牢獄のままである。東アジアの民主化と民族独立こそ、解決しなければならない世界史の最大かつ緊急の課題である。しかしアメリカは、この最大の課題に真剣に取り組まなかった。
アメリカは、中国の急速な経済成長を促進した。中国に、安価な労働力による安価な工業製品を製造させて、自国民に提供さるためである。そこには、中国経済の成長が民主化に結びつく、という思惑があったかもしれないが、そうだとしたらそれは余りのも甘い判断であった。中国は成長した経済力で、国内の支配をますます強化するとともに、富国強兵路線を驀進して、軍事大国に成りおおせたからだ。(つづく)
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