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2011-09-20 00:00
(連載)中国で中国の対アフリカ政策を考える(1)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
先日、中国から帰国しました。約10日間で上海、浙江省、そして新疆ウイグル自治区を回ってきました。日本大学を中心とする共同研究プロジェクト「中国の対アフリカ政策」で浙江師範大学での会合に出席した後、やはり日本大学と新疆の石河子大学との中央アジア関係のシンポジウムに出席してきました。
しばらく前から、中国の対アフリカ政策が注目を集めています。特に2003年以降、ダルフールでの内戦でアフリカ系国民を虐殺したとして、スーダンのバシール大統領が欧米諸国から非難を集め、それに付随して中国も批判の対象になりました。国家主権を前面に押し出し、「不干渉」の原則にのっとって、スーダンの内政に関与せず、その油田開発に率先して投資してきたからです。中国はICC(国際刑事裁判所)から指名手配されるバシール大統領と友好関係を保ってきたのです。中国の対アフリカ政策は、このように資源を確保するための国家戦略として、なりふり構わずアフリカに進出するものとして描かれてきました。確かに、その側面は否定できません。
中国は2000年からアフリカ諸国首脳との「中国アフリカ協力フォーラム」を開催しています。ここでは再三に渡って、“win-win” が強調されています。つまり、中国がアフリカに進出することで、アフリカ側も輸出の増加などによって利益を得られる、というのです。実際、中国の対アフリカ貿易は2003年頃から中国側の入超です。中国はアフリカとの貿易において、440品目を無関税輸入の対象にしています。これは、中国との関係が、輸出を通じたアフリカの経済成長に役立っている、という論拠になります。
ただし、その対アフリカ貿易のうち、中国の輸入の80パーセント以上は、石油を含む天然資源です。そして、大陸随一の経済力をもつ南アや、歴史的に関係が深いザンビアを除けば、主な輸入先は産油国ばかりです。言うまでもなく、アフリカの国全てが産油国というわけではありません。一方で、中国からの輸出先は、輸入に比べると、比較的分散しています。その輸出品目は、ほとんどが工業製品です。
つまり、中国は特定の産油国から大量に石油をはじめとする天然資源を輸入する一方、アフリカ全土に向けて工業製品を大規模に輸出しているのです。その結果、確かに大陸規模でみた場合、中国との貿易は“win-win” であったとしても、産油国以外のアフリカ諸国にとっては、対中国貿易は大幅な入超という事態になっているのです。資源と同時に、市場をも確保する。しかも、それを“win-win” のレトリックで正当化するところに、中国の戦略性を見出すのは、私だけでないでしょう。(つづく)
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