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2011-09-18 00:00
(連載)アルカイダのイデオロギー面での衰退(2)
茂田 宏
元在イスラエル大使
この考え方は、イスラエルのパレスチナ攻撃、米によるアフガン戦争やイラク戦争、エジプト、チュニジア、サウジなどの政権と米との緊密な関係などの現実に照らして、アラブ人にそれなりの訴求力を持ってきた。このアルカイダのイデオロギーに「アラブの春」は打撃を与えたと思われる。
第1に、総じて平和的なデモにより、エジプトのムバラク政権は倒れ、チュニジアの政権も倒れた。そのなかで、米は事態の進展に伴い、反政府派を支持し、ムバラクやベンアリを見捨てることになった。リビヤにおいては、NATOは武力を行使して、反政府派を支援した。オサマが生きていれば、この事態をどう説明したのか、わからないが、説明に窮したのではないかと思われる。
第2に、米・NATO軍はイラクからも、アフガンからも、引き上げようとしている。アルカイダはそれが自らのジハードの成果と誇りうるかというと、かなり疑問である。もし仮に誇ったとした場合、防衛ジハードはその役割を果たしたことになり、用済みになる。パレスチナ和平問題は残るが、これは古くからある問題であり、アルカイダが特にオリジナリティを持って語れることではない。その結果、オサマの説いたイデオロギーは、今ではその意味を失ってきている。
オサマが死んでも、そのイデオロギーが生き残ると厄介である。しかし、あまり心配することもない。今後、暫くテロは起ころうし、警戒は必要であるが、イデオロギーの魅力がなくなった運動は、徐々に弱まっていくのが通例である。米をはじめとする西洋とアルカイダの戦いは「文明の衝突」の様相をも帯びたものであり、長く続くおそれがあった。しかし、アルカイダのイデオロギーの訴求力は「アラブの春」で弱まり、歴史の上では、アルカイダ運動は一つのエピソードのような位置しか占めないのではないかと思われる。(おわり)
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