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2011-09-06 00:00
(連載)カダフィ体制崩壊が中東・北アフリカにもたらすインパクト(2)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
バシール大統領に代表される、中東・北アフリカの「リビア・コネクション」は、今回のトリポリ陥落によって、総崩れの可能性が大きくあります。これは、一面において中東・北アフリカの安定に資すると考えられます。スーダンだけでなく、ソマリアのイスラーム組織「アル・ジャバーブ」を支援するエリトリアのイサイアス大統領など、地域の不安定要因となってきた「独裁者」たちの、精神的・物質的支援者がいなくなったことを意味するからです。
ただし、他方では、カダフィ体制の崩壊が地域の不安定化を生む面も、否定できません。スーダンのジャンジャウィードは、ダルフールから追い出したアフリカ系住民が隣国チャドへ難民として逃れると、その難民キャンプを標的に、越境攻撃を繰り返すようになりました。チャド軍とジャンジャウィードの戦闘が頻発するなか、2006年にチャド政府はスーダンとの国交断絶を宣言しました。半年後に両国の関係は正常化しましたが、これを仲裁したのがカダフィでした
チャドのデビー大統領もまた、欧米諸国では「リビア・コネクション」の一員とみられることがあります。しかし、実際にはデビー大統領は軍人として、チャドに侵攻してきたリビア軍と戦火を交えた経験もあり、カダフィの影響は必ずしも大きくありません。しかし、それでも仲裁を申し出たカダフィの面子を壊すことはできず、スーダンとの国交正常化に臨まざるを得なかった、というのが実情でした。
カダフィは各国の非政府系武装組織を支援することで、イスラームとアラブ民族の一体性を強調する「ジャマーヒリーヤ」体制を、地域一帯に拡大しようとしてきました。そのなかで、政府レベルだけでなく、ジャンジャウィードなどの武装組織レベルに至るまで、その影響力を浸透させてきたのです。逆に、例えばバシール大統領は、ジャンジャウィードを必ずしもコントロールしきれていません。したがって、カダフィの退場は、これらの武装組織にとっての重石がなくなったことを意味し、少なくとも短期的には、地域の混乱が過熱する可能性が否定できないのです。(おわり)
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