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2006-06-28 00:00
東アジア共同体にとって米国の祝福や支持は不要か
河野晶子
大学院生
6月22日に開催されたグローバル・フォーラム主催の国際会議「日米アジア対話:東アジア共同体と米国」に出席の機会を得た者の一人として、感想を述べさせていただきます。当日は日米のほかアジア諸国からも多数の出席者があり、たいへん勉強させていただきました。しかし、気になる発言もありました。それは、シンガポールから参加されたサイモン・テイ国際問題研究所会長の「東アジア共同体にとって米国の祝福や支持は必要ではない。東アジアにおける地域主義の誕生と成長は自然かつ中立的な現象であって、米国とは無関係だからだ。米国の態度や反応も変化してきた」という発言です。このような意見がアジア諸国の間で通説になっているとは思いませんが、一定の賛同者もいるとすれば、きわめて嘆かわしいことです。その理由を以下に述べさせていただきます。
米国が地理的に東アジアの一部でないことはだれしもが認めることですが、同時にだれしもが認めていることは、米国が東アジア地域において現に軍事・政治・経済上の大きな存在となっていることです。東アジアの安定と繁栄に関わる重要な安全保障上、金融貿易上の問題で、米国をまったく除外して解決可能な問題はほとんどないのではないでしょうか。ですから、本来なら米国は東アジア共同体の一員に迎えられてもおかしくないくらいの存在なのです。
ところで、そのような米国に対して「米国の祝福や支持は必要ない」と距離をとることは、何を意味しているのでしょうか。東アジア共同体から米国の影響力を排除したいとの意志によるものと思われますが、それに対して米国がどう反応するかをよく考えるべきだと思います。米国が東アジア諸国の輸出に対してその市場を閉ざしたり、東アジア域内の安全保障に対するコミットメントを撤回したりするようなことになれば、その影響は計り知れないものとなります。確かに、米国が東アジア共同体のメンバー国になることは地理的に無理ですし、米国自身がそこまでは望んでいないと思います。しかし、東アジア共同体が「開かれた共同体」を志向するとすれば、最初に「開かれた関係」をもつべきなのは、米国ではないのでしょうか。今回の「日米アジア対話:東アジア共同体と米国」の核心に迫る論点だったと思いますが、会議場内ではだれからも明確な反論はなされなかったように思いました。そこで、私なりに反論させていただきました。皆さまのご意見をお伺いしたいと思います。
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