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2011-08-22 00:00
(連載)パネッタ米国防長官、「国防支出のさらなる削減」に警告(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
今年の7月にロバート・ゲーツ氏から職務を引き継いだレオン・パネッタ国防長官は、8月4日に初の記者会見を行ない、国防支出のさらなる削減を行なわぬように警告した。パネッタ氏はクリントン政権で行政予算局局長を務めた経緯もあり、国防予算削減を後押しするものと思われていた。しかし、アフガニスタン、イラク、リビアでの戦争によってパネッタ氏も軍事予算の削減には慎重になっている。バラク・オバマ大統領が共和党と国債の上限について合意したので、次はどれだけの予算をどの分野で削減するかが問題となる。
国防費も例外ではなく、ジョン・カイル上院議員を中心とした共和党議員たちは「2013年以降の10年間で5千億ドルを自動的に削減するという民主党の提案は、無責任で、国防を本気で考えていない」と非難している。来る大統領選挙を視野に入れた共和党は、国防費削減に対する批判を強めている。そうした中でパネッタ長官は、就任後初の記者会見で、自らの与党の方針に反対の意を示した。またパネッタ氏は、必要な財源の調達のため、増税と医療・社会保険を含めた他分野の歳出削減も求めた。きわめて注目すべきことに、2001年以降の国防費は、イラクとアフガニスタンの戦費を除いても増加の一途をたどっている。パネッタ長官は国防費の急激な削減によって「我が国の安全保障、軍人達と彼らの家族、そして我が国を守るべき軍事力に甚大な被害をもたらすであろう」と述べた。軍人への福利厚生と兵器体系の高度化が国防費を押し上げていると見られている。
しかし議会での論争は、単なる民主・共和両党の鍔迫り合いではない。国防予算は共和党内でも論争を呼んでいる。ティー・パーティーに代表されるリバータリアンは減税を中心に議論を進めるのに対して、ネオコンは軍事力の強化を支持している。与野党間および党内での論争に鑑みて、ジョン・マケイン上院議員は租税優遇措置の削減を提案して、国防費の削減の動きに先制攻撃を加えた。ともかく『ワシントン・ポスト』紙が8月6日に報じているように、2012年の大統領選挙では経済が最重要課題になると見られ、それが国防予算の議論にも大きな影響を及ぼすであろう。
パネッタ長官就任後初の記者会見の概要は上記の通りで、次に安全保障の専門家達の見解にも言及したい。両党が国債の上限に関して合意に達したので、アメリカン・エンタープライズ研究所のトマス・ドネリー常任フェローとゲーリー・シュミット常任研究員は、今や国防予算を議論すべき時だと主張する。国防に関して押しが弱いと、軍部が疎外されてしまい、結局は次期選挙で保守の基盤を壊しかねない。また両者は、ティー・パーティーに代表されるリバータリアンに「小さな政府と強力な国防のバランスをとる」ように訴え、「リビアでの戦争をヨーロッパ諸国に任せて、背後から主導することを好むような大統領」に国防を委ねてはならないと説いている。(つづく)
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