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2011-08-08 00:00
(連載)日本人がすっかり忘れている日本人による無差別テロ(1)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
7月22日、ノルウェーの首都・オスロで、2つのテロ事件が連続して発生した。一つは中心部の政府庁舎などがある地域で起き、爆弾が爆発して8人が死亡し、多数の人々が傷ついた。もう一つは2時間後に郊外の島で起き、与党・労働党の青年集会が行われていたところに、銃を乱射する男が現れ、こちらは68人が死亡した。両方あわせると76人と言う、ヨーロッパでは珍しい、かなりの規模のテロ事件となった。
今のところの情報では、2つの事件とも1人の男の犯行らしい。男はキリスト教原理主義者で、政府の移民受入れ政策に反対で、とくにイスラム教徒の流入に危機感を持っていたようである。とすれば、文明史的に考えれば、イスラム教の成立以来ずっと続いてきた、キリスト教とイスラム教の抗争の一環と捉えることができる。キリスト教とイスラム教は、その元であるユダヤ教も含めて、一神教として極めて類似した宗教であるが、近親憎悪と言うように、近いほど仲が悪いのである。
それはともかく、今回の中心部における爆弾テロの写真を見て、私がパット思い出したのは、東京・丸の内で起きた爆弾テロ事件である。それは37年前、1974年8月30日に起きたことであった。東京駅の近くだから、都心も都心、丸の内の仲通りに面した三菱重工の玄関に、強力な時限爆弾が仕掛けられて、昼休みの時間に爆発した。そのために8人が死亡し、385人が重軽傷を負った。死亡者のほかに、多くの負傷者が出たのは、ビルの窓ガラスが割れて、それが雨のように降り注いだからである。
その後の捕まった犯人は、「東アジア反日武装戦線」と名乗るグループで、言うまでもなく極左勢力であった。当時、1960年代の学生運動が、大学紛争を通じてどんどん過激化してゆき、1970年には日本最初のハイジャック事件である「よど号事件」を、72年には同志虐殺の連合赤軍事件を起こしていたが、直接的な無差別テロをやり出したわけである。三菱重工が標的となった理由は、日本最大の軍需産業であるからと言うものであった。しかし、爆弾が仕掛けられたのが玄関前で、しかも昼休みであったから、犠牲になったのは、殆ど三菱重工と無関係の人々であった。その後、これほどの規模のものはなかったが、極左勢力による無差別テロは、何回も繰り返されて、殺された人が何人も出た。(つづく)
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