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2011-08-02 00:00
(連載)世界は、日本のクリーン・エネルギー政策に注目している(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
今年の夏も猛暑であるにも関わらず、過酷なまでの節電を強いられている日本の様子が、米国でも報じられている。就業時間を変更したり、平日の業務を減らして週末に勤務するなど、節電するための日本人の努力、知恵、および忍耐力の成果があって、「7月の電力生産はニューヨークにもほぼ毎日供給できるほど余剰があった」という。また、各地の観光地も賑わい、家電メーカーや省エネグッズ・ビジネスは盛況で、東日本大震災後の日本の経済は順調に回復しているかのような楽観的な報道もある。一方、電気料金の値上げに不満の声が高まっていることや、厳しい節電で熱中症による老齢者の死亡率が増えていることなどの指摘もある。また、福島第一原発のメルトダウンにより、大半の日本国民は原発に対する信頼性を失ったため、日本の深刻なエネルギー問題は、政府や電力会社の対応如何で、日本経済の死活問題にもなりうるとしている。
退陣を迫られている菅首相は、原発に対する国民感情を受けて、日本の原発依存終焉の方針を発表しているようであるが、7月29日の『ブルンバーグ』紙によると、菅首相は「最初の段階として今後3年間、次に2020年まで、最終的には2050年までに、完全な脱原発を目指す」ことを公表しているという。『朝日新聞』の世論調査では「日本は脱原発のエネルギーについて学ぶ必要がある」との首相の見解を「77%の国民が同意している」との調査結果が伝えられている。地理的に地震と津波の発生率が高く、3・11後、精神的外傷を受けた国民が多い日本で、このような結果が出ても不思議ではない。特に、最近汚染された飼料が原因で、約3000頭の牛肉から基準を上回る放射性セシウムが検出されたため、国民の失望感は益々膨らんでいるようだ。
更に、7月29日付けの『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によると、汚染された福島県内の校庭の土壌汚染作業には問題があることを、ミシガン大学で原子力工学や放射線医学を専門とするキンバ-リ・キャフォト教授が指摘していることを伝えている。その報道によると、内層の土を表面層の土と入れ替えるため、汚染された表面の砂を削り取ってビニールに入れ、下層部に埋め込むのだが、このような土壌処理の方法は「1950年代の時代遅れな方法」であるとしている。「長期的には放射線物質が地下から拡散するのは確実である」と懸念している。その結果、環境、人体、動物に悪影響を及ぼし、手に負えなくなるほど被害が拡大することを懸念している。「採集した汚染土壌は、耐水性の専用保管コンテナに移すのが望ましい」と、キャフォト教授は指摘している。このように様々なマイナス要因があり、原発に対するアレルギーが強くなっている。
原発を支持する人口層には、天候、費用、土地などの問題を懸念して太陽熱や風力エネルギーへの変換に関して否定的な意見も多いようだ。菅首相のクリーン・エネルギー政策に対する反論意見のひとつは、「今後20-30年で再生可能エネルギーに切り替えるのは非現実的である」としている。大阪だけでも「原子力発電は5兆ドルの産業」であり「原発なしでは、関西の経済が崩壊する」と懸念している。(つづく)
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