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2011-07-05 00:00
年末のロシア下院選:予想される与党「統一ロシア」の大勝
飯島 一孝
ジャーナリスト
来年春の大統領選の行方を左右する年末の下院選挙は5ヵ月後に迫ってきた。その時、有権者はどういう選択をするのか。このほどレバダ・センターが全国的な世論調査を行なったところ、与党「統一ロシア」が6割の議席を獲得、大勝するとの結果がでた。ロシアの有力紙『コメルサント』が6月30日、電子版に掲載した調査結果によると、「きょう下院選挙が行われたら、どの政党に投票しますか」との質問に53%の人が「統一ロシア」と回答した。下院選挙は、定数450のすべてが比例代表制で選出される。このうち得票率7%以上の政党が議席を獲得できるため「統一ロシア」は6割以上の議席獲得が見込まれることになる。
次いで、17%が野党の「共産党」に、13%は与党に近い「自由民主党」に投票すると回答している。以上の3党だけが7%の得票率を上回り、議席を獲得できる。そのほかに、「公正ロシア」が5%、「国民自由党」が3%、「正義党」が2%、「ロシアの愛国者」と「ヤブロコ」(りんごの意味)がそれぞれ1%となっている。前回2007年12月の下院選では、「統一ロシア」が64・3%の得票率で315議席を獲得した。これは全議席の3分の2以上に当たり、文字通り圧勝した。単独で憲法改正ができる議席数でもある。そのほか、「自由民主党」が8・14%で40議席、第2与党の「公正ロシア」が7.74%で38議席を獲得した。結局与党系が約9割の議席を獲得、議会はプーチン政権の大政翼賛会のような様相になった。
一方、野党では「共産党」だけが11.57%で38議席を獲得したが、リベラル系の野党は、「ヤブロコ」が1・59%、「右派連合」が0・96%と、いずれも得票率7%のハードルを超えられず、議席を獲得できなかった。まさに民主派の惨敗だった。今回も、今のままでは与党系の大勝になりかねない。ただ、「統一ロシア」は春の地方選以来、支持率が低下傾向で、今回の調査でも先月の時より4%下がっている。それに対し、「公正ロシア」、「国民自由党」、「正義党」がそれぞれ1%だが、先月より上がっている。
このため野党勢力は「選挙は投票率いかんで変わってくる。まだまだ結果はわからない」と今後の選挙運動に期待をかけている。専門家の中でも「有権者の政治への不満が高まっており、投票率は高くなる」との見方が広まりつつある。政治評論家のクイネフ氏は「有権者には変化への欲求があり、新しいサイクルが始まりつつある」と分析している。下院選挙の結果を見て、各陣営とも大統領選の候補者を最終決定する。大統領選のカギを握るプーチン首相が自ら立候補するのか、後継者のメドベージェフ大統領に託するのか、それとも第3の候補を指名するのか。すべてはこれからの5ヵ月で決まる。
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