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2011-07-01 00:00
小沢“勝ち馬戦略”で「野田支持」の気配
杉浦 正章
政治評論家
不信任案をめぐる「小沢の変」で敗北して以来、元代表・小沢一郎が「脱連立・入民主」の傾向を強めている。その言動からも、2代続いた暗愚首相によってたがが外れた民主党を立て直し、来年中にはあるとみられる解散・総選挙対策に専念し始めたように見える。その長期戦略の上に立って「ポスト菅」を誰にするかだが、「党をまとめて選挙に勝てる人材を最優先する」しかないという判断に傾いているようだ。その意味で対象は財務相・野田佳彦に絞られ始めたように見える。「首相が辞めた後だ。今から動くと潰される」と、小沢は6月28日夜自身のグループの会合で漏らした。「まだ動くな」と言う意味だ。「小沢の変」も、6月2日の不信任本会議の前日の夜には77人を集めて気勢を上げ、造反が80人に達して、「不信任可決で、党分裂か、大連立か」という事態寸前で、ルーピー鳩山が動いて大失敗に終わった。そのあとだけに、小沢の言動は極めて慎重になっいる。大連立指向は影を潜め、むしろ党立て直し指向が強い。
民主党の現状を「国民の期待に沿うような政治を実行できない、という大変強い批判にさらされている」と指摘。「国民の生活が第一、という精神を忘れたところに、国民の不信感が募っている。民主党は原点に返らなければいけない。政権交代の時の信頼を取り戻すよう頑張る」という発言からは、既に裏で自民党に連立を働きかけた姿は、片鱗も見られない。小沢は、政局を遠望できる数少ない政治家の一人だが、今後の展望について小沢は(1)菅は死に体で、遅かれ早かれ辞めざるを得ない、(2)誰が首相になっても、次の課題は解散・総選挙だ、(3)選挙を前に大連立などやっているひまはない、というところに考えを集約し始めたようだ。若い政治家たちに「衆院は、常在戦場と呼ばれている通り、いつ選挙があるかわからない」と忠告しているが、菅の「脱原発解散」を指しているというより、一般論として「選挙近し」の警鐘を鳴らしているのだろう。自公両党は大連立などとっくに忘れて、新首相になっても、閣外協力か、パーシャル連合で、大震災対策だけをやる方向だ。基本は新政権を早期解散に追い込むことを目指している。
しかし、小沢の言動から垣間見えるのは、ほとんどビョーキの権力指向だ。「今から動くと潰される」と言う意味は、菅退陣後は動くという“宣言”でもある。もっとも小沢は1月に強制的に起訴され、公判前整理手続き中であり、初公判は秋にも開かれる見通しだ。弁護士が検事役となって追及することになるが、“素人検事”だけに、かえって生々しく、どぎつい追及が予想されている。公判には本人の出席が求められ、相当力を割かれることが予想される。加えて解散・総選挙が近づくという政治状況下では党内対立を煽っているひまはない。代表選挙でも独自の候補を擁立できるかというと、「玉がいない」(側近筋)という状況だ。そこから出てきているのは「勝ち馬に乗る」戦略だ。勝ち馬とは誰かと言えば、今のところ大きくリードしている野田だろう。朝日新聞は6月19日に「小沢氏、条件付きで野田氏支持」と断定した。条件とは民主党代表選で「消費税増税路線を凍結せよ」というもので、既に野田には伝えられているという。
そういう背景をもとに、政府・与党の社会保障改革検討本部が30日に決定した「消費増税10%」の方針を見ると、興味深い。なぜなら肝心の実施時期が「10年代半ば」とぼかした決着だったからである。財務相の意向が反映されないわけがない。明らかに野田が小沢の意向を忖度(そんたく)した結果であろう。小沢に近い筋は、朝日の「野田支持」の報道について、「まだ生きている」と述べている。野田は首相候補に擬せられた後、6月10日の記者会見で、菅退陣後の民主党の体制について、「誰かから脱する、誰かを除くというのは不毛だ。一番超えなければいけないのは、怨念の政治だ」と述べている。これは菅・岡田体制による“脱小沢”路線を自ら否定したことを意味する。小沢へのエールであろう。野田と小沢の協調路線は、それなりに出来つつあるように見えるのだ。民主党内では首相候補には前首相補佐官・馬淵澄夫、元官房長官・平野博文、前環境相・小沢鋭仁、元国会対策委員長・樽床伸二ら中堅議員が意欲を見せている。しかし、民主党の悪い点はろくろく実績もない議員が、恥ずかしげもなく手を挙げることだ。前外相・前原誠司や官房副長官・仙谷由人、農水相・鹿野道彦はまともな候補といえるが、菅が辞めないことから、動くに動けず、いまのところ先行した野田に独走を許している。
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