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2011-06-16 00:00
(連載)日本政治の混乱を見る、海外の目の厳しさ(2)
茂田 宏
元在イスラエル大使
第2に、オースリンが指摘していることであるが、民主主義国日本が失敗することは、自由民主主義世界にとり損失である。中国は共産党独裁制で、容赦のない人権弾圧で安定を確保し、経済成長や軍備増強をしている。アジアにおいては、中国モデルと日本モデルがいわば競争関係にある。日本の民主主義が機能しないことを世界に示している現状は、こういう状況の中で不都合と言わざるを得ない。このままでは日本は民主主義の失敗例を世界に宣伝することになりかねない。ASEAN諸国も、社会のモデルとして中国より日本を念頭に置いている。現在の日本の政治家には、そういう意味で民主主義を機能させる責任があるし、それをやれないと国際的な悪影響があると言うことである。
第3に、私が菅総理の対応で不満に思うのは、この国難の時期にパーフォーマンスをすることである。ご本人は意識されていないかもしれないが、浜岡原発停止要請がその例である。これは、法的権限もなしに民間の企業活動に介入したと言う点で、法治国家の総理のすることではない上に、震災、原発後の日本にとっての最大の問題、電力の確保に逆行することである。福島原発の件で我々は、原発の危険性をいやというほど感じたが、同時に計画停電で電気なしには産業も生活も大きな影響を受けることも実感した。原発への不安心理に訴えて、かつ根拠のない30年以内に87%の確率での大地震(地震は確率的にも予知不能)とパニックを煽り、電力供給を減らした行為は、非難に値すると思われる。
こういう菅総理のやり方の結果として、現在運転中の原発や定期点検中の原発が、従来通り再稼働できるか否かに疑問が出てきている。これは日本の電力が約30%減ると言うことである。日本はGDP1単位当たりのエネルギー消費量が少ない国である。電力量の30%減がGDPの30%減につながるかどうか、私は専門家ではないのではっきりはわからないが、日本でのエネルギー消費量の削減は、乾いたタオルを絞るようなものと言われていたので、その可能性は十分にあると思われる。
短期的に代替エネルギーを手当てをする必要があるし、原発の再稼働を政治の意思で法に従いやるべきであろう。太陽光発電増強は結構であるが、時間がかかる。日本国民はGDP30%減、1人当たり所得30%減になることは望んでいないと思われるし、日本が世界経済回復を遅らせることになるのは避けるべきであろう。今回の菅降ろし騒動は、日本の国際的評判を大きく傷つけたが、ことここに至った以上、政治家は早く大連立でもして、政治を前に進めて、名誉挽回をしてもらいたいと考える。なお鳩山前首相はツメの甘い人との印象を私は前から持っているが、今回の確認事項はその典型であった。この人が海千山千のロシアを相手とした外交に意欲を燃やすなど、日本にとっては危険極まりないことである。(おわり)
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