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2011-06-08 00:00
仙谷、前原、野田が横一線の民主党代表選レース
杉浦 正章
政治評論家
ポスト菅をにらんだ民主党代表選レースは、官房副長官・仙谷由人、財務相・野田佳彦そして前外相・前原誠司の3人が、ゴールを目指して横一線に並んだ形だ。大きく遅れているが、前3頭がずっこけた場合のダークホースとして経産相・海江田万里が脇から狙うといった展開だろう。ゴールの時期は、月内に首相・菅直人が退陣しても7月にかかることが予想され、まず立候補に向けての熾烈なせめぎ合いが継続する。前代表・小沢一郎は次期代表候補の条件について、6月7日、「野党の協力、党内融和、一定の人気」を挙げた。さすがに権力闘争しか考えない“政局マン”だけあって、肝心な「大震災復旧・復興の強力な推進」を早くも忘れている。不謹慎さは小沢らしい。今回の首相候補の場合、解散・総選挙を断行する首相とならざるを得まいから「再生民主党」を強く印象づけられる候補がまず求められる。その次が、2代続いた「暗愚、欺瞞首相」の印象を払拭できる手堅さであろう。野党との連携を第1に挙げる向きが多いが、大連立もおぼつかなくなった以上、筆者はまず自らの政権基盤を固めることが最優先されなければならないと思う。
こうした条件を基に首相候補を選考すれば、まず真っ先に外れるのは「他党候補」だ。つまり自民党総裁・谷垣禎一はあり得ないということだ。小沢が数日前までは谷垣の名前を挙げていたが、それは内閣不信任案が可決された場合のこと。否決の事態では、かき消えた。小沢は「代表選準備」を側近らに指示しており、自前の首相という方向に転じた。谷垣に勝るとも劣らぬスピードで外れるのは、幹事長・岡田克也だ。数々の選挙惨敗を愚にも付かない原理主義の論理で言い逃れ、責任を回避し続けた揚げ句、今度は菅の欺瞞のお先棒を担いだ。幹事長になってスポットを全身に浴びて、馬脚が現れたのだ。岡田と似ていて外さねばならないのは、官房長官・枝野幸男だ。世論調査が当てにならないのは、テレビへの露出度で人気が決まることだ。弁護士で口から先に生まれてきたようにしゃべりまくり、菅と同じで発言に「心」が感じられない。どこかのアホ週刊誌が「亀だ」と叫んでいるが、国民新党代表・亀井静香など、谷垣以上にあり得ない。だいいち「民主党代表選挙に出馬できるのかね」と言いたい。“郵政国有化”で自民党に敵を作った。空想科学小説の部類だ。政調会長・玄葉光一郎、農水相・鹿野道彦、前総務相・原口一博、元国対委員長・樽床伸二はそれぞれの御ひいき筋があるが、現段階では“雑魚”の部類だ。しかし、玄葉だけは光る。1~2回見送れば十分首相候補になり得る。もっとも、しゃにむに立候補する向きは止められない。
ここまで候補を絞り込めば、自ずと仙谷、前原、野田が残る。海江田も一応名前は出しておこう。一番目立つのは仙谷だ。目立つというか、自分自身を目立たせ続けている。自民党副総裁の大島理森との会談は本来なら秘密裏にしておくべきだろうが、をあえて露出させている。これが何を意味するかだが、端的に言えば「目立たせて代表狙い」だ。本人は「若い人をいかに支えるかが一番重要だ」としおらしいが、どうだか。反小沢だから、小沢が7日、「ちょろちょろ動いているようだが、簡単には行かない。気にかける必要はない」とネズミ扱いしているのも、気にかかる。野党といいと言うが、公明党は2007年の徳島駅前の発言を根に持っている。「公明党という中途半端ないんちきな政党がいる。何が平和の党だ。何が福祉の党だ。どこかから命令が下りたら、3日間で5万票が動く。こんなでたらめな民主主義があるか」。この発言はそう簡単には忘れられまい。どうも発言に難があるが、官僚のうけは良い。実行力も随一だ。
前原は一番「再生民主党」を印象づける。新聞が指摘している外国人からの献金問題などは、いまやかすり傷だ。「前原首相」に首相補佐官・細野豪あたりを官房長官に据えれば、支持率は一挙に回復する。渡部恒三が小沢との誕生パーティーの幹事に据えたのも、次期候補に押し出そうとする深謀遠慮がある。小沢が7日、支持候補について「過去の言動や振る舞いにこだわらない」と述べたのは、ひょっとしたら前原を意識しているのかも知れない。まさか仙谷ではあるまい。前原は7日、民主党以外からの選出もあり得るような発言をしたが、どうも思いつきで重要事項をしゃべる癖がある。谷垣自身が「まず民主党が代表を選ぶのが先」と述べているではないか。野田は一番手堅い。財務相としての重責を大過なくこなしている。何といっても、次期政権の最大のテーマが「社会保障と税の一体改革」という消費税増税であり、これをこなせる首相は、数が絞られる。いまをときめく松下塾出身で、毎朝、津田沼駅前での演説を県会議員になる前から20年間続けるなど、愚直な根性もある。小沢との関係も悪くない。ちょっと暗いのが玉に傷で、広がりが出るかどうかがポイントだ。海江田は、小沢と鳩山両グループが支持したときにだけ候補たり得るが、まだ不明だ。仙谷、前原、野田のいずれをとっても、一長一短があり、レースは混沌だ。
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