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2011-06-06 00:00
(連載)天安門事件から22年(2)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
では、この循環が加速することで、民主化運動は高まるのでしょうか?一概にそうとも言えないと思います。確かに、「寄らば大樹の蔭」で共産党にくっついておくメリットが、これまでより低下しつつあることは確かで、それによって共産党への不満を募らせる人が増えることは、充分に予想されます。
しかし、経済情勢が悪化したときに、逆にむしろ、より一層共産党との関係を強化して、「自分だけは何とか生き残ろう」とする人も出てくるはずです。どちらが多くなるかは、やはり経済状況によって左右されてくると考えられます。つまり、中国の経済情勢がよければ共産党支配が安定するという構図自体に、大きな変化はないのです。
ただし、ここでいう「経済情勢」とは、GDPやGNIなどで表される「国家全体での豊かさ」や、GDP成長率などで表される「経済成長の度合い」だけを意味しません。いかに国全体が成長しようとも、その富の寡占が進めば、多くの人の生活はより一層苦しくなるからです。つまり、胡錦濤国家主席や温家宝首相が「和諧社会」のスローガンのもとに進めようとしている富の再分配が、社会に鬱積する不満が暴発しないようにする取り組みであることは、言うまでもありません。しかし、富裕層の抵抗や、経済成長を阻害するという懸念もあり、「和諧社会」の実現は難しいようです。その意味では、富の再分配と社会不満に火が着くのと、どちらが早いかのレースになっていると言えるでしょう。
UNDPの統計では、中国のジニ係数は2004年度で46.9で、ほぼ同時期のアメリカの40.8(2000年)を上回ります。この後、どれくらい格差が広がっているかは不明ですが、仮にこれがさらに拡大しており、それが止まらなければ、「民主化」と呼べるかどうかは分かりませんが、大規模な政治変動が起こることは避けられないとみられるのです。(おわり)
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