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2011-05-08 00:00
(連載)米英識者が語るビン・ラディン後の世界(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
世界の最重要指名手配テロリストであったオサマ・ビン・ラディンは、アメリカ海軍SEALsの攻撃によって5月2日にパキスタンのアボタバードで殺害された。これは対テロ戦争で記念すべき事柄であり、アル・カイダに代表されるテロ組織には大打撃である。だからと言って、それがイスラム・テロの終焉を意味するわけではない。ビン・ラディンの潜伏地がパキスタンの首都イスラマバードからそれほど遠くなかったので、パキスタンと欧米の関係は緊張を強めている。
まず、この事件がアフガニスタンでの戦争でどのような意味を持つかについて述べたい。リベラル派では、フランス国立アナトリア研究所のギーユ・ドロンソロ研究員が「これを機にアメリカは、タリバンと対話して、この長年にわたる戦争から手を引くべきだ」と主張する。アフガニスタンとパキスタンの情勢がすぐに好転するとは見ていないからである。他方、カーネギー国際平和財団のアシュリー・テリス上空研究員は「アメリカの十分な政治的および軍事的な関与がない限り、現地での民族および部族間の抗争を抑えれることはできない」と主張する。テリス氏は「現地司令官達が言うように、アフガニスタンでは可能な限り駐留兵力を維持すべきだ」と訴えている。
西側がアフガニスタンに関与してゆくべきかどうかを判断するうえで鍵となるのは、アル・カイダが中東と南アジアでどれほどの深刻な脅威であり続けるかである。BBCによると、アル・カイダとその関連組織は、パキスタンでオサマ殺害の報復テロ攻撃を行なう決意を固めており、そのためにアフガニスタン、パキスタン、インドではかなりの危険が見込まれるという。しかし、ブルッキングス研究所のダニエル・バイマン上級研究員は「ビン・ラディンのようなカリスマ性と組織を束ねる能力を合わせ持つ人物が葬り去られたことで、アル・カイダには非常に大きな打撃になった」と論評している。とはいえ、対テロ戦争が終結したと見る専門家は殆どいない。
アメリカン・エンタープライズ研究所のフレデリック・ケーガン常任研究員は、ビン・ラディン後の国際テロについて、「オサマの殺害は、重要な成果であり、アル・カイダは弱体化された。ブッシュ政権によるイラクへの兵員増派によって、アル・カイダはイラクでの拠点を失ってしまった。また、彼らはアフガニスタンでも敗北を続けている」と言う。しかし、ケーガン氏は「アメリカと同盟諸国が性急に対テロ戦争から手を引いてしまえば、アル・カイダの残存勢力が他の場所で根拠地を築きかねない」と警告している。さらに辛辣なのは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究学院のフーアド・アジャミ教授で、かれは「ビン・ラディン一派は、イラクからも、アフガニスタンからも、締め出された敗北者だ。アラブの春の到来によってジハード精神が退潮となった時勢の最中に、ビン・ラディンは死去した」とも述べている。(つづく)
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