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2006-06-10 00:00
日台関係は現実的な協力から進めるべし
中島 三恵
金融関係
2月20日に開催された「日台対話」の速記録『日台関係の現状と今後の展望』を拝見しました。そのなかで、浅野和生平成国際大学教授は「日本、アメリカ、台湾の三角関係の安定が日本の安全と繁栄のそして東アジアの安定と繁栄の基礎となることは疑いない。この三者の間では、日本とアメリカに日米安全保障条約があり、米台関係にはアメリカの台湾関係法があるが、日台関係には法的基礎がない。変化する国際環境、日本、台湾の政局の変動を越えて安定的で良好な日台関係の基礎を築くために、日本版の台湾関係法制定を検討すべき」と述べています。
私は個人的には台湾が大好きですし、日台関係の強化、発展を望んでやみませんが、中国が「台湾は中国の一部である」と主張してその武力併合さえ示唆している現状においては、日本も注意深く対応しないと、ひいきの引き倒しになる恐れがあります。日本と台湾は経済的、文化的に相互交流の蓄積があり、非伝統的安全保障の分野における情報交換等も実際に行われています。日台関係の強化は一歩、一歩着実に進めないと、取り返しのつかないことになりかねません。谷野作太郎前中国大使が述べるように「東アジアの共存共栄を考えれば、日米中のより建設的な環境をどうやって築くかということこそが大事なのであり、その中で中台関係、米台関係、日台関係をどのように位置づけるかが問われている」のだと思います。
東アジア地域の平和と安定を考える上では、中国、台湾、米国、日本にとっての共通の利益を生み出していく方法を考えるべきです。台湾はWTOのメンバーですが、WHOにもできるだけ早く加盟すべきだと思います。環境問題やエネルギー問題での協力強化も懸案です。それらの動きはごく自然に東アジアで進展している地域統合に台湾をいかに引き込むかという問題につながると思います。今回の「日台対話」の記録を読むと、日本側出席者からは東アジアの地域統合への台湾の参加について多数の意見が出ているものの、台湾側出席者からはそのような発言が少ないのが残念です。
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