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2011-04-26 00:00
(連載)脱原発の動きに与しないBRICS諸国(2)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
では、中国の原発推進政策はいかなるものであるのか。現在世界で建設中の原子炉は65基あるが(3月14日、産経)、そのうちの43パーセント、28基は中国1か国のものである(3月28日、朝日)。現在が13基、1100万キロワットであるから、飛躍的な増加策を実行しているわけである。そして、原子力発電で2億キロワットを賄う構想があり、それは1基100万キロワットで計算すれば、実に200基にもなる(4月4日、朝日)。さらに、朝日4月15日の「原発ビジネス活況続く」の記事に使われている「2025年までの原発の新規需要」の図によると、中国63.5兆円、欧州26兆円、ロシア17.9兆円、インド16.6兆円、アメリカ15.5兆円、中東11.6兆円、東南アジア8.8兆円、日本7.7兆円であるから、中国がまさにダントツで群を抜いている。
ロシアについては、4月1日の産経の記事が詳しい。国外での原発ビジネスにも積極的で、2025年までに国内で24基を建設するだけでなく、国外で30~45基を受注して、シェア20パーセントを獲得するのだという。この産経の記事でとくに注目されるのは、「船上の原子炉で発電を行う『海上原発』の建造」を、2012年の実用化を目指して進めていることである。しかもその第一号は「過去に津波被害に見舞われている極東のカムチャッカ地方に配備する計画」なのであるという。
中国も、ロシアも、日本の原発事故の影響で原発推進政策を放棄するような国でないことは、「三亜宣言」を世界に表明したことによって、全く明らかになった。とくに中国は、現在驚くべき速度で高速鉄道網を作り上げているように、原発建造計画も確実に達成するであろう。ロシアも極東地方で建造するようになり、日本・韓国の原発も合わせて、東アジアとくに極東は、世界で最も原発が密集した地域になるのは間違いない。
それだけ原発が増加すれば、今回の福島原発事故を遥かに凌ぐ、真に重大かつ深刻な原発事故が多発することも充分予想される。つまり、そのような重大事故は決して「想定外」ではないのだ。中国の原発で重大事故が発生すれば、死の灰は偏西風に乗って、黄砂の如く日本列島に降り注ぐであろう。(おわり)
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