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2011-04-06 00:00
(連載)スマート・パワー:リビア危機と福島原発危機(3)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
イギリスのウィリアム・ヘイグ外相が呼びかけたロンドン会議では、ヒラリー・クリントン国務長官がリビア反体制派指導者のマフムード・ジェブリル氏と会談し、リビアの民主化について話し合った。アメリカは政治的な圧力によるカダフィ氏の放逐を望んでいるという。反乱軍のほとんどは真っ当なリビア国民だが、NATO司令官のジェームズ・スタブリデス海軍大将は、アメリカ議会で「反乱軍の中にアル・カイダやヘズボラとつながりのある者がいる」と証言した。オバマ政権が依然として地上軍の派兵に慎重な理由は、戦争の際限ない拡大に反対する米国内の世論やヨーロッパ同盟諸国との関係に加えて、これである。
東日本大震災による福島原子力発電所事故は、利害関係やイデオロギーを超えた超国家的な政策調整を必要としている。アメリカは多数の原子力専門家と世界最強の軍事力を擁し、この危機に対処するために動員できる労力と資本は、世界のどの国も圧倒している。アメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・オースリン常任研究員は、アメリカ軍の投入による被災者の救援を訴えている。そのために、日本には軍用ヘリコプターが100機しかないので、アメリカの重量輸送ヘリコプターの派遣を提言している。「地震とそれに続く津波は、日本経済に甚大な被害を及ぼしており、内向きにならざるを得ないこの同盟国をアメリカは今後数年間支援してゆかねばならない」ともオースリン氏は言う。日米間経済関係が難しくなる中で、「トモダチ作戦」と名づけられた救済および復興任務によって、両国の政治的関係は強まっている。他の諸国からの救援チームも日本の被災者に多大な支援を行なっている。
多国籍の救済および復興活動に加えて、原子力安全利用に向けた新しい国際的なガバナンスの構築が必要である。ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領は3月24日の演説で「国際機関による原子力利用安全基準を強化せよ」と提案した。また、メドベージェフ氏はロシアが途上国での安全な原子力発電の建設に積極的な技術的支援を行なうと述べた。
リビアと日本は、アメリカ外交でスマート・パワーがどのように実践されるかを見極める重要な試金石である。前者ではケーガン氏が主張するような従来からの力によるアプローチが必要になる。後者ではナイ氏が主張するように市民社会や地域社会とも連携した多国間の関係が重要になってくる。スマートであるということは、必ずしも小さな資本と労力で何かを成し遂げるという意味ではない。スマート・パワー外交とは、世界の安全保障でのアメリカの関与を深めるものでなければならない。大統領が誰であれ、アメリカは心理的に世界に関わってゆかねばならない。(おわり)
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