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2011-04-05 00:00
(連載)政府は、チェルノブイリ事故の教訓を生かせ!(2)
飯島 一孝
ジャーナリスト
1986年に起きたチェルノブイリ事故では、原子炉の爆発で原子炉建屋や機械室屋上で火災が発生し、消防隊員らの必死の消火活動で翌日朝までに鎮火されたが、31人が犠牲になった。また、ヘリ操縦士らが決死の覚悟で上空から砂、鉛、ホウ素などを投下し、事故から10日後にようやく放射性物質の放出を止めることが出来た。さらに、炭鉱労働者などを動員して炉底に通じるトンネルを掘り、地底から原子炉を冷却する作業を続けた。その後、事故を起こした原子炉をコンクリートの「石棺」で密封したのである。それでも被害は周辺の広大な地域に広がり、その後甲状腺がんなどで死亡した人は、4000人とも、6000人ともいわれている。
当時、原発から半径30キロ以内が危険地域に指定され、住民約13万5000人に避難命令が出た。事故後も30キロ以内の地域は居住禁止とされ、25年たったいまも原則として地域内への立ち入り規制が行われている。筆者は、事故から8年後にチェルノブイリ原発を取材し、周辺を見て回ったが、居住禁止区域に入る場合は、防護服着用が義務付けられ、ガイガー計数管を持参した。区域内には植物もほとんど生えておらず、所々で計数管が不気味に鳴っていて、まさに「死の廃墟」という印象を受けた。今回の事故で、日本にもこうした地域が生じるのかと思うと、暗澹たる気持ちになる。
ロシアのプーチン首相は事故直後、「日本は親しい隣国。(北方領土問題など)様々な問題はあるが、我々は信頼できるパートナーであるべきだ」と発言し、最大級の支援策を打ち出した。これまでに救援隊計約150人が現地入りして、被災者救援に当たったほか、国営原子力企業「ロスアトム」の専門家グループが来日した。ロシア側の報道では、原発管理の専門家とされていたが、具体的にどんなことをしたのか報道されていない。
ロシアは原発事故では「先輩」であり、事故処理の貴重な経験を持っている。日本政府はいまこそロシア側に支援を要請し、チェルノブイリ事故の教訓を生かして、危機回避に全力を挙げるべきではないか。過去のいきさつは水に流して、支援を受けることが、お互いの信頼回復にも役立つと信じる。(おわり)
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