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2011-03-29 00:00
メドベージェフ大統領よりプーチン首相を好むロシア国民
飯島 一孝
ジャーナリスト
米英などの多国籍軍のリビア空爆を巡ってロシアのメドベージェフ大統領とプーチン首相との意見の違いがメディアで大きく取り上げられ、「双頭体制に亀裂か」などと波紋を呼んでいる。来年の大統領選を控え、憶測は次々広がっているが、それに対するロシアの有権者の判断が3月25日、明らかになった。この論争は、先にプーチン首相が仕掛けた形。リビアへの武力行使を容認した国連安保理決議について「他国に武力で干渉することが、米外交の傾向になっている」「(この決議は)中世の十字軍の呼びかけを思い出させる」などと述べ、米国を強くけん制した。
この発言に対し、メドベージェフ大統領は決議の正しさを認めたうえで「いかなる場合でも、文明の対立につながりかねない『十字軍』のような表現を使うことは許されない」と、大統領の発言を叱責した。大統領が昨年秋ごろから首相の発言をたしなめる場面が増えており、ロシアの有力紙コメルサントは「双頭体制が2008年に出来て以来、二人の間で最も激しいやり取りだ」と論評した。
ところが、3月25日の独立新聞(電子版)によると、ロシアの二つの世論調査機関がリビア空爆に関して行った調査結果が公表され、両調査とも「空爆に反対する国民が大半を占める」という内容だった。なかでも顕著だった調査結果は、多国籍軍の攻撃を非難する人が78%にのぼり、支持する人はわずか5%というものだった。こうした世論調査結果と二人の発言との関係についてカーネギー財団モスクワセンターのペトロフ氏は「プーチン首相はいつも有権者が期待していることを先取りして述べていて、今回も有権者の気分と完全に一致している。これに対し、大統領は西側に向けてシグナルを送っている」と分析している。
要は、大統領と首相とで外国向けと国民向けに発言を使い分けているという見方である。その意味では、二人の間で亀裂があるのではなく、分業体制が続いていることになる。この見方が正しいとすれば、二人ともそれぞれのギャラリー向けに発信し、メディアはそれに踊らされていることになる。今回もメディアより二人の方が一枚上手ということだろうか。
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