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2011-03-23 00:00
世界の友の救済支援と日本人の美徳
島 M. ゆうこ
エッセイスト
この紙面をお借りして、東日本大震災の被災地の皆様、および遺族の方々へ、心からお見舞いとお悔やみを申し上げると共に、再建に向けて踏む出した第一歩が、力強い団結に基づき、絶え間ない前進になることを真摯にお祈りする。地震、津波、原発危機の三重苦による前代見聞の悲惨なニュースは、海外に住む日本人にも、想像以上に大きなショックを与えた。日々悲痛な思いで被災地の様子を見守っていた筆者にとって、せめてできることは、米国人の親族や知人にも義援金の協力を電子メールで呼びかけることだけだった。一方、最も励まされたことは、世界100カ国以上からの支援の申し出があったことである。特に、同盟国である米国の積極的な救済活動は、改めて米国との同盟の意義と重要性を知る機会を与えた。更に、被災地の人たちの冷静な行動と道徳心の高さも、多くの外国人ジャーナリストから評価された。
世界各地の友が、救済支援の申し出をした背景には、日本がこれまで積み重ねてきた善意があった。世界の人々は、日本が常に、他国で人道的支援を行ってきたことを知っており、敬意を払っている。例えば、国連の潘基文事務総長は「日本は、世界の各地で緊急援助を行っている、最も寛大で、最も深い恩人の一国である。そのような精神で、国連は日本の人々の側に立ち、この困難なときに、我われができる限りの援助をする」と述べた。フランスのニコラ・サルコジ大統領も、前代未聞の災難に遭遇した日本に深く同情し、援助チームの派遣や資源輸送に協力する意志があることを表明した。スウェーデンのフレドリック・ラインフェルト首相は「日本は140年以来の最悪の地震と津波を経験しており、日本の人々を援助することに全力を尽くす」と述べている。また、領土問題で歴史的に複雑な関係が続く中国、韓国、ロシアの指導者も、被災地の救済に協力する姿勢を示した。
オバマ大統領は、日本の今回の悲惨さには「胸が張り裂けるような思いがする」と述べ、「日本は重要な同盟国であり、どのような支援も惜しまない」と語った。航空母艦および複数の米軍艦艇を含め、支援チームを直ちに派遣した大統領の迅速な対応に感謝したい。また、福島第一原発の危機を受けて、3月17日にホワイトハウスで記者会見を行った大統領は、「日本は、力強く立ち上がることができると確信している」と話し、「米軍は、日本の安全を確保するため終日援助する体制で、被災地で不足している食糧や水を空輸している」とも語った。同日、ワシントンの日本大使館を訪れ、弔詞書に署名したオバマ大統領は、「米国は、この難局中、最も偉大な同盟国のひとつである日本の側に常に立つ」と哀悼の言葉を綴った。米国の一連の言動は、同盟国である日本の重要性を繰りかえし、明白にしている。
筆者が、電子メールで義援金の協力を呼びかけた際に強調したことは、「8、000人以上の日本人が死亡し、約40万人が家を失い、この瞬間にも、十分な食糧、水、電気もなく、壊滅的な状況にある。これほどの過酷な災害に遭遇しながらも、尚かつ冷静を保ち威厳と道徳性を維持している被災地の日本人の姿に、現地を訪れた多くの外国人ジャーナリストは感動した」ということである。このメッセージの効果は確実にあり、想像以上の反響があった。現実的には過大評価であるが、米国の多くのメディアは「日本において自然災害が発生したとき、他国と決定的に違うのは、災害による混乱のなかでも、暴動や盗難や略奪が発生しないことである」と、日本人の冷静さや道徳性の高さに驚いている。また、一旦破壊されたものは元にはもどらない現実を冷静に直視しているなど、現地を訪ずれた記者らに深い感銘を与えたようだ。米国のメディアは、福島第一原発の放射線漏れが米国へ及ぼす影響を懸念し、一部の論調はうろたえているが、オバマ大統領は専門家の意見を聞いた後「有害なレベルの放射線が、米国領土に達する心配はない」と国民に伝えた。こんなところにも国民性の違いが出たようだ。故に、危機に直面した時「日本人のように振舞うことができるか」と問いかけ、「日本人を見習え」と鼓舞する声もある。今、危機に際し、世界の友に支援され、日本人の美徳が評価されていることを意識し、自戒する必要がある。
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