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2011-03-20 00:00
(連載)「平成の開国」以上の意味をもつTPPの真価(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
菅直人首相は、昨年の就任以来、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加の意向を示している。菅氏は、TPPに言及する際には、「TPPは平成の開国」との位置づけを繰り返している。1月に行った施政方針演説においても、2月に出席した世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)においても、そうであった。ダボス会議での演説は、TPPへの参加による「平成の開国」を国際公約として表明したものであった。しかし、そもそも「TPPは平成の開国」という位置づけは適切なのであろうか。
TPPは経済連携協定であるから、それへの参加の是非が、経済の観点からなされるべきであるのは、当然のことである。TPPは、地域的にはアジア太平洋地域を包括し、中身の面では経済活動全般に関わるルール作りを目指すものである。アジア太平洋地域は、これからの世界経済の牽引車となるはずの地域であり、しかも我が国との経済的結びつきが強い。このような地域において、我が国抜きで大規模な関税撤廃が行われ、我が国抜きでルールが決まっていくことは、わが国にとって極めて大きなハンディを負わされることに他ならない。それゆえ、我が国は当然、経済的観点からTPPへの早期参加を目指し、一刻も早くルール作りに参加する必要がある。
TPPが持つ重要な側面の一つとして、明らかに自由主義経済、ひいては自由主義の価値観の重視がある。したがって、我が国がTPPに積極的に取り組むことは、アジア太平洋地域において自由主義の価値観を率先して掲げ、アジア太平洋地域において自由主義を増進することに他ならない。すなわち、TPPは、アジア太平洋地域を自由主義の砦とするための一つの重要なツールなのである。
このことが重要であるのは、それが独裁的な市場経済体制をとる中国の台頭に対する強い牽制となるからである。中国が正統的な自由主義経済をとる可能性は当面考えられない。したがって、中国がTPPに参加する現実的可能性はない。中国以外のアジア太平洋の国々がTPPによって経済的相互依存を深めれば、対中依存を軽減することができる。経済と政治は必ずしも厳密に連動するというわけではないが、経済的対中依存が低下すれば、中国の政治的影響力は相対的に小さくなることは間違いない。これは、我が国にとってプラスの状況である。(つづく)
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