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2011-03-13 00:00
(連載)何故米国では気候変動対策が進まないのか?(4)
西村 六善
元地球環境問題担当大使
フォックスTVワシントン支局長・ビル・サモンは、2009年のコペンハーゲンCOPの最中に同局の記者が送って来た温暖化問題の解説(科学的に正しい内容)が放映された15分後、フォックスTVの全スタッフに対して、報道にあたっては「気候変動のデータの信憑性を疑問視すること、地球が温暖化していると云う断定的説明をしないこと、する場合にもそれについての基礎データは疑問視されていると説明すること」を命ずるメールを送付した。これは米国の多くのメディアが報道した事件だ。
フォックスTVは2009年後半に起きた「温暖化メール暴露事件」を執拗に報道し、「温暖化の科学は信頼できない」というメッセージを全世界に流し続けた。多数の調査機関が「この暴露事件にかかわらず、気候変動の科学は全く疑問視されるべきでない」と結論づけたにもかかわらず、科学への執拗な攻撃を止めなかった。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙も同様の主張を続けている。サックス教授が世界最大の宣伝マシーンと呼んだものの中には、米国で毎日、数千万人が聴取しているとされる超過激ラジオのトーク・ショウがある。Hate Radio と称されている。中でも最も有名なのはラッシュ・リンボーで、保守派の毒舌で左派を徹底して攻撃する番組に、毎週1500万人以上が聞いているとされている。オバマ大統領を社会主義者・共産主義者として激しく非難している。
要するに、徹底したリベラル嫌いで、クリントン大統領、ヒラリー夫人、環境保護論者、左派の政治家や知識人に対しては、マルクス主義まで持ち出して、激越な調子で批判している。「オバマの成功は、アメリカを社会主義化し、米国の美徳を破壊する」といった単純化されたメッセージが、全国的に流されている。温暖化問題は「リベラルの狂奔」として嘲笑されている。
因みに、2011年1月21日付けの英紙『フィナンシャル・タイムス』は、米国で繰り広げられているこの激越な言論闘争を解説する特集記事の中で、次の6人を中心人物としてあげている。グレン・ベック(フォックスTVのアンカーでオバマ大統領とリベラル攻撃の急先鋒。温暖化科学否定論者)、ラッシュ・リンボー(上記の通り)、ラシェール・マードウ(MSNBCの人気のリベラル派)、ケイト・オルベルマン(MSNBCの元アンカーで、フォックスTVから敵視されている人物)、サラ・パーリン(共和党副大統領候補。過激発言で物議をかもしている)、ジョン・スチュワート(CNNに出演する風刺パロディー家。09年ウォルター・クローンカイト以来の信頼されたテレビ・パーソナリティーと評価された)。「世界最大の宣伝マシーン」の中には、ネットを通ずる情報供給も含まれよう。急進右派や気候変動否定論のサイトとしては、Daily Caller, Fox Nation, Hot Air, Climate Depot 等がある。(つづく)
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