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2011-03-12 00:00
(連載)何故米国では気候変動対策が進まないのか?(3)
西村 六善
元地球環境問題担当大使
要するに、この豪州生まれのメディア王は、新聞では米国の最大発行部数の『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙、テレビでは最大視聴率のフォックスTVを支配することにより、米国世論(と世界世論)に圧倒的な影響力を及ぼす立場に立っている。従来メディアは、経営権と編集権が分離されていたが、マードックはその原則を破り、米国の政治文化を保守の最右翼にもって行くと云う明確な党派的指向を鮮明に打ち出した。このようにして、現在の米国において News Corp 社とフォックスTVは単なるメディア現象ではなく、極めて重要な政治現象になっている。米国のネオコンの牙城とされている『ウィークリー・スタンダード』誌は、マードックが1995年に開始したもので、現在の編集人はウィリアム・クリスタルとフレッド・バーンズである。また、多くの記事は、アメリカン・エンープライズ公共政策研究所、倫理・公共政策センター、 民主国家防衛財団、ハドソン研究所、ヘリテージ財団等に所属する専門家たちが書いている。
News Corp 社の共和党への傾斜ぶりは、2012年の大統領選挙に向けて遺憾なく発揮されている。2010年には共和党知事会、全米商工会議所に多額の献金をした時、メディアの行動として適正でないと非難を浴びた。しかし、フォックスTVは、大統領選挙での共和党の勝利を目指して、2010年11月「2012年への挑戦者」と云うキャンペーン番組を行った。この番組でフォックスTVは、共和党候補に対して「優先アクセス」を与えると発表した。全国的なテレビ・メディアが米国大統領選挙で一党に肩入れした点は、米国でも大きな議論が巻き起こった。
フォックスTVが共和党を支持していることは周知であるが、これ程に報道機関が一党に偏向した支持をするのは前例がない。更にフォックスTVは、共和党候補になると見られている5人の政治家を雇用し、彼らに給料を支払っていることが公表されている。サラ・パーリン、マイク・ハッカビー、ナウト・ギングリッチ、リック・サントラム、ジョン・ボルトンである。現にこの5人は、フォックスTVに常時出演している(その後、ギングリッチ、サントラム議員への給与支払いは中止された)。
ジェームズ・ファローズは、2010年9月3日付け『アトランティック・マンスリー』誌で、「マードックの行動は企業利益の為に政治的影響力を使用している恒常的なパターンがある」と論じている。クリス・パッテン元香港総督がメモワールをマードック系の出版社(ハーパーコリンズ)で書こうとした時、中国批判の箇所があることが分かると、契約を解消して、問題を起こした。マードックは、中国の首脳と衛星テレビの事業を進めていた。彼はまた、法輪講の最も強固な批判者であることでも知られている。『ニューヨーク・ポスト』紙は中国非難の記事を一切書かない新聞として有名である。気候変動に関して News Corp 社は恒常的に否定的な論調で情報を提供している。(つづく)
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