ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2011-03-05 00:00
(連載)アラブ諸国に共通する貧富の格差と政治の腐敗(3)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
隣接国の反政府運動に影響されて、2月14日にデモが始まったイランの経済も、イラクと同様に石油依存型の経済であり、不安定である。イランも教育を受けた若い世代に失業率の高さが目立つ。大卒の若者は海外へ職を求めて国を去るため、著しい「頭脳流出」が起きている。教育、医療、衛生などの施設やサービスに欠け、IMFによると、53%の人口が貧困ラインの生活状態である。
2月15日に抗議デモが始まり、紛争が激しくなっているリビアの経済は、原油輸出からの収入が歳入の95%を占め、ほとんど原油で成り立っている。比較的人口が少なく、かなりの歳入があるため、国の国内総生産は高いが、平均個人所得は低い。オイルやガスなどの天然資源の売却による収入は、国民に還元されておらず、「不公平な資源配分のバランス」が最も典型的に表われている国である。また、石油以外の製造業や建設業などの部門はGDPの20%を占め、農産物の加工、石油化学品、アイロン、鋼鉄、アルミニウムの生産は伸びた。しかし、天候の条件や土壌が乏しく、農産物の生産には厳しい限界があり、リビアは75%の食品を輸入に依存している。リビアの多くの国民は、高騰する輸入食品を買う余裕がない。
人権違反の暴力がエスカレートしているリビアでは、国連の推定によると、現在までに2000人以上が死亡している。2月26日、国連安全保障理事会は、抗議活動家を殺戮しているカダフィ大佐に対する報復として、カダフィ本人、家族、及び側近らの資産凍結、彼らの旅行禁止、および武器出入禁止を採択した。しかし、「国連は、もっと強力な制裁を課すべきである」との意見も多く、チュニジアやエジプトなども、リビアでの抗議活動家の救済を呼びかけている。現在、国外逃亡者が殺到して、国境付近はひどい混乱状態が続いている。
上記した国は、クレプトクラシー(横領政治)または、それに近い政治体制で、極端に腐敗している。クレプトクラシーは、ありとあらゆる手段を使って、市民の資産や土地を横領または搾取し、支配階級の私欲を肥やす政治体制である。しかし、アラブ諸国は例外なく、土地や天然資源は王族に帰属するとの中世ヨーロッパ封建制の伝統を受け継いでいる。アラブ諸国のクレプトクラシー的腐敗政治を最も具体的に伝えているのが、ウキリークスが公表した秘密外電文書の情報である。(つづく)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム