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2011-03-04 00:00
(連載)アラブ諸国に共通する貧富の格差と政治の腐敗(2)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
政治・経済政策に反対するムスリム同胞団が1月26日に先導してデモ抗議を開始したヨルダンは、中東の中でも、水、原油及び他の天然資源が少ないため、経済規模は小さく、政府は外国からの援助に依存している。政府が抱えている経済的問題は、インフレーション、莫大な赤字と負債問題があり、慢性的な貧困に加えて、高い失業率が深刻な状態である。製造業、鉱業、再輸出運送業など輸出中心の経済部門は、特に経済危機に直面している。人口の約15%は、貧困ライン以下の生活をしており、貧困は、特に都会で顕著である。17%の子供達は栄養失調に苦しみ、人口の11%は安全な飲料水が入手できない状態である。
1月29日から政治・経済改革を求めて反政府運動が始まったOPECの主要加盟国サウジアラビアは、世界最大の石油生産および石油輸出国であり、世界の石油の20%を保持している。国民の生活水準は、比較的良好であるが、若い世代の無学率は非常に高く、失業率も高い。首都リヤドでは、約600万の外国人労働者が石油会社や他のサービス部門で重要な役割を果たしている。ここでも経済格差が不満の原因になっている。約2500万人の人口の中で、12万人は百万長者であり、この人口層は総計資産4000億ドルの富を所持する一方、20歳から29歳までの男性の20%はまったく収入がない状態である。
チュニジア、エジプトに影響され、大規模な政治改革を目標として抗議デモを開始したバーレーンは、ペルシャ湾で最も多様化した経済状態にある。高度に発達した通信・交通技術により、多数の多国籍企業のビジネスの拠点になっている。しかし、バーレーンの経済は石油生産に依存しており、輸出の60%以上が石油である。若い世代の失業率の高さは慢性的な問題であり、同時に貧富の経済格差が大きい。特に、石油会社の外国人は優遇される一方、多くの国民は貧困に喘いでいる。イスラム教徒の75%はシーア派であるが、彼らは政府関係の仕事から排除され、社会で最も貧しい階層に属している。政治家や指導者階層はスンニ派が圧倒的で、バーレーンの富はスンニ派に集中している。これは、シーア派が「組織的に差別されている」と不満を抱く原因になっている。民主化運動ではシーア派の反政府抗議者らが政治改革を要求している。
2月12日から、バグダッドやカブールなど主な都市で、数百人の抗議デモが始まり、25日には、政治改革を訴えたデモが頂点に達し、連日デモ参加者への弾圧が続いているイラクは、石油依存型の経済である。1990年以降の国連の制裁が影響し、生活水準は低下をたどり、教育、衛生管理、医療体制は衰えている。失業率、インフレーション、物価は上昇し、一方、購買力、個人収入は減少している。政府支持派である一部のエリートに富が集中し、貧困が増大しているため、経済格差による社会分裂が見られる。政府は、「食糧のための石油」プログラムを利用して政府支持者を優遇するために「食糧の一定配給量」システムを採用し、医療品、飲料水の配給および交通の手段も限定している。(つづく)
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