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2011-03-01 00:00
“片肺予算”で政権は“抜き差しならぬ”袋小路へ
杉浦 正章
政治評論家
財源の裏付けがないままの“片肺予算案”が衆院を通過した。露呈させたものは、予算関連法案採決の先送りで執行のめどが立たず、民主党内の権力闘争で本会議に小沢別働隊16人が欠席する、という政権の末期症状であった。首相・菅直人は予算委で国民新党の「お追従質問」に4年の任期全うへの決意を表明したが、その声はうつろに響いた。主要閣僚までが、政権の継続に疑念を漏らし始めており、予算通過に喜びの笑みはない。政権は抜き差しならぬ段階に入った。小沢別働隊16人の行動は、かねてから権力闘争と指摘してきたが、今回の行動は国会議員としての立場の放棄に他ならない。自分の所属する党が作った予算案の採決は何よりまして重要であり、その本会議欠席は自らの存在否定に直結する。ろくろく有権者に訴える努力もなく、比例で当選すると、議席の持つ重要さが分かっていないのかもしれない。最高顧問・渡部恒三が「もともと政治家とは思っていない」と述べているとおりだ。
一方、予算委を聴いていて辟易としたのが、国民新党幹事長・下地幹郎の“おもねり”と“へつらい”に満ちた質問だった。「政権運営をあと2年6カ月やると確約してほしい」「解散はしない、 頑張るという意気込みを見せなければ、ついていかない」と菅を持ち上げ、何度も答弁を求めた。昔自民党で特定企業べったりの質問者が、利益誘導の“やらせ”質問をしたのと、そっくりだった。あまりの“よいしょ”に民主党席ですら苦笑の表情が目立った。しかし、おぼれる者はわらをもつかむ。菅は得たりとばかりに「4年間は多数をもらった政党がきちんと責任を持つことを定着させたい」「短期に政権がころころ変わったのでは何も出来ない」と得々と答弁。しかしこの発言は自己矛盾に満ちている。
自民党政権を解散に追い込んだ民主党は、それに先立つ参院選挙での勝利を「直近の民意である」と主張して、麻生太郎の政権の正統性を否定し続けた。その先頭に立ったのが菅だったではないか。因果はめぐる火の車で、菅は参院選に惨敗、支持率も10%台と歴代首相の“退陣水域”に達している。ここは謙虚に正統性のなさを認めるべき所を、あと「2年半やる。やらせよ」と開き直る場面ではあるまい。いったん握った権力は、絶対離さないというのでは「リビアの大佐」並みではないか。政権に固執するこの姿勢は、予算関連法案の処理にも及んでいる。その最たるものが関連法案の衆院での採決先送りだ。まれな例外を除けば、通常関連法案は本予算案と同時に可決して参院に送付される。財源の根拠がないままの送付は無責任のそしりを免れないからだ。衆院で可決しようと思えば十分な数があり可能なのだ。その背景は何かというと、公明党抱き込みへの未練だ。
公明党は、幹事長・井上義久が地方交付税法改正案や関税定率法案には賛成する方針を明らかにしていることから、この調整協議を突破口にして話し合いに引き込もうというわけだ。しかし公明党も、核心部分の赤字国債発行のための特例公債法案には反対を明言しており、とても“片肺状態”が復元されることはあり得ない。要するに、予算案の可決と関連法案の分離は、菅の必死ですがる政権維持にはプラスどころか、マイナスの効果しか無いのだ。折から産経新聞の世論調査では予算案や予算関連法案が年度内に成立しない場合、7割が解散か退陣を求めた。菅が退陣した場合、次期首相は総選挙を実施すべきが9割近くを占めた。国民世論の政局を見る目は、下地の“ごますり”と菅の“しがみつき”とは全く逆であることが、火を見るより明らかなのだ。朝日新聞によると、主要閣僚の一人が「政権はもう長く持たないだろう」と不気味な予言をしているという。
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