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2011-02-21 00:00
「スマートパワー時代の日米同盟」に出席して
山澤 逸平
一橋大学名誉教授
さる2月14日、グローバル・フォーラムと米戦略国際問題研究所(CSIS)の共催による「日米対話:スマート・パワー時代における日米関係」が東京の国際文化会館で開催され、私も出席しその議論に参加した。「スマート・パワー時代」という以上、ソフト・ハード両面のパワーによる日米協力が重要となることはいうまでもないが、しかし、当日の議論はおおむね軍事力を中心としたハード面での日米協力の重要性に比重が置かれていた感が否めなかった。そこで私としては、そのような議論を補う意味でも、日米間でのソフト・パワー協力、とりわけ経済面での協力の重要性を指摘するため、おおよそ以下のとおりの発言を行った。本欄読者諸兄のご参考に供したい。
日米はともに世界経済の運営面で、G7およびG8で、30年以上緊密に協力してきた。現在メンバーを拡大したG20の枠組みの中でも、金融安定やマクロ経済政策で協力し、さらに食料価格高騰問題にも取り組んでいる。G20は今後エネルギーや環境その他世界的問題に取り組まなければならない。遅れているWTOのドーハ・ラウンド交渉も今年中に終わらせなければならない。その中で日米はEUと協力して議論をリードし、新メンバー特にBRICs諸国が責任あるステークホルダーの役割を果たすよう導く必要がある。
日米はまたアジア太平洋地域の平和と繁栄を維持するために協力を強化しなければならない。現在アジア太平洋はもっともダイナミックで、世界経済を牽引する機関車の役割を果たしており、両国はそれを維持するよう協力しなければならない。ヨーロッパと違って、この地域の経済協力の制度化は遅れており、他方この地域の外交・安全保障が大きな危機に直面しているのは、すでに多くの人が指摘するとおりである。
ここでは地域経済協力に二つの流れがあり、それらが互いに矛盾していることを指摘しておきたい。ひとつはASEAN+3であり、他はTPPである。ASEAN+3は中国が推進して、米国を排除している。TPPは米国主導で交渉されており、中国を含めない。先月の米中首脳宣言では「中国も責任あるステークホルダーとして歓迎する」と述べているが、中国自身は排除されていると感じている。日本の管総理は日本のTPP参加に強いイニシャティブを採っているが、現在の中国を排除したTPP構成では規模効果も限られている。
昨年11月の横浜APECでは、首脳たちは長期目標としてアジア太平洋FTA(FTAAP)を設定した。これには中国も米国も入る。首脳たちはASEAN+3とTPPをFTAAPに至る道筋として並行して進めるよう示唆した。しかし、この二つのアプローチの間の対立をなくすには、APECの貿易投資自由化円滑化プロセスを継続して、孵卵器として活用する必要がある。今年米国がAPECを主催する。来週の第1回SOMは米国主導で始まるが、日本は昨年の主催国として米国を助けて、FTAAP実現への約束を強化したらどうか。日米ソフト・パワー協力の中に、この課題をぜひ含めるべきだと信ずる。
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