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2011-02-14 00:00
(連載)ムバーラク政権の崩壊と市民の意識変容(2)
水口 章
敬愛大学国際学部教授
こうした各国・各地の社会空間の特性の上に、インターネットや携帯電話の普及によって、国境を越えて多元的に人々が連帯意識を持つことができる空間(連帯意識空間)が形成されていった。この空間では、アラビア語を介して「アラブ人意識」や「イスラム教徒意識」などの同質性が高められることになる。しかし、それだけでなく、英語の普及、中東諸国の教育の向上、衛星テレビやインターネットを介した欧米文化の流入などを背景に、若者たちは、この連帯意識空間に欧米的な「自由」「合理性」などの価値観や知識も持ち込んでいたといえるのではないだろうか。
こうした「ネット世代」と呼べる人々の一部が、社会の中核に入りはじめ、社会・経済運動として、自らの社会で変える必要がある不公平・不公正を変えようとする「行動」が生まれてきた。チュニジア、エジプトの政治変化では、フェイスブックやツイッター、アルジャジーラ、BBC、CNNなどの衛星テレビといった情報の入力・伝達手段が注目される。それを使いこなす「人」が、どのような社会制度、規則、習慣の中で成長し、そのメンタル・プログラム(ものの考えかた)を変化させているかを見ることが大切である。
中東諸国ではこの20年間で、国際システムの変化によって、各国なりの文化変容が起きている。おそらく、その変容の仕方が、政治指導者層と若者を中心とした市民とでは大きく異なり、両者の間の価値観の隔たりが生じているのだろう。したがって、中東地域において、この格差を認識せずに統治する指導者がいる国では、政権が崩壊する蓋然性が高いと言えるのではないだろうか。また、チュニジア、エジプトでも今後、この格差を認識した上で新体制が築かれなければ、さらなる政変が起きる可能性がある。
さらに、この「ネット世代」の社会改革を求めるエネルギーは中東地域の空間だけで高まっているわけではなく、世界各地で見られ始めている。日本も例外ではないかもしれない。この観点から、愛知県知事選、名古屋市長選で起きたことを、もう一度考え直す必要があるかもしれない。(おわり)
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