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2011-02-13 00:00
(連載)ムバーラク政権の崩壊と市民の意識変容(1)
水口 章
敬愛大学国際学部教授
2月11日、エジプトでムバーラク大統領が辞任した。奇しくも1979年にイランでパーラビ王制が市民によって打倒されたのと同じ日の辞任となった。2011年に入り、中東地域での市民の抗議活動による政変は、1月14日のチュニジアでのベンアリ政権に次いで2件目である。
辞任したムバーラク大統領は、シナイ半島の紅海に面したリゾート地シャルム・エル・シェイクに家族とともに移っている。ムバーラク氏の辞任を受け、国政は当面、タンタウィ国防相を議長とする軍最高評議会と憲法裁判所長官が当たることになる。そして、チュニジア同様に、内閣は解散し、議会も凍結される。当然、気になるのは、今後のチュニジアやエジプトの動向である。また、この市民の抗議活動が閉そく感漂う中東諸国にどう広がっていくかが注目される。そこで、この一連の地殻変動のエネルギー源について考えてみたい。
考えるヒントは、逆転的発想だが、冷戦終焉後の東ヨーロッパ諸国に訪れた自由化と民主化が、何故これまで中東諸国には訪れなかったか、という点である。拙著『中東を理解する』でも取り上げているが(72~80頁)、西洋型の民主主義の成立には(1)経済水準の問題、(2)国民の自由度が関係する。この2点について、当時の中東諸国の水準は東ヨーロッパ諸国に比してかなり低かった。それから、およそ20年、「フラット化」や「大収束」ともいわれる現象が各地で見られる中で、世界経済システムは変化している。そうした時代に沿って中東諸国の経済も発展してきており、また国際的な競争の中で社会制度を変更している。
その結果、国際経済、石油収入に深くかかわっているアラブ湾岸産油国は、一部(サウジアラビア)を除き、国際社会との政治・社会問題も修正されつつある。一方、地中海に臨む中東諸国は、公的制度の改善が遅れ、公平性や公正性に問題のある社会となっていた。そこに、(1)2008年のリーマン・ショックの後遺症、(2)食糧価格の上昇が重なったことが引き金となったと思われる。(つづく)
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