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2011-02-10 00:00
予算法案の参院否決へ照準定めた自・公両党
杉浦 正章
政治評論家
菅政権初の党首討論は、自民党総裁・谷垣禎一と公明党代表・山口那津男が「3月危機」への追い込みでタッグを組み、首相・菅直人は「6月会期切れ逃げ込み」に向け必死の形相で抵抗。形としては袋小路に追い詰められた菅が、“猫パンチ”を繰り出して、懸命の応戦をしている図だ。理論構成、主張ともに野党側に理があり、7対3でタッグチームが勝った形だ。どの新聞も急所を見逃しているが、菅が「社会福祉と税の一体改革」の成案時期を「6月」と設定したのは、通常国会の会期切れを狙ったものに他ならない。「一体改革を提起する」として政局を引っ張り、国会閉幕に逃げ込もう、という意図が明白だ。これを察知した自民、公明両党首が「3月危機」実現で、解散・総選挙か、内閣総辞職に追い込もうと追求したのだ。根底にある「解散綱引き」が党首討論に現れた。だから政局がらみのスケジュール論争となり、菅が「先に一体化で話し合おう」と主張すれば、谷垣が「先に解散」と拒絶するパターンとなったのだ。
「解散」を声高に叫んだ谷垣と異なり、山口は「解散」とは口には出さなかったが、これは党内への配慮であって、本音は「解散か、総辞職か」の狙いの追求であった。統一地方選挙とのダブル選挙も辞さない姿勢と受け取れた。山口がマニフェスト破綻を指摘して「国民の側からは、契約を解除する権利がある」と述べたのは、明らかに解散・総選挙での決着を意識している。最後に菅を「決意も、リーダーシップもない」と決めつけたのは、首相不信任の表明であり、内閣総辞職要求に他ならない。首相問責決議可決への布石とも受け取れる。要するに、2月8日の予算委集中審議も、9日の党首討論も、野党側の位置づけは「3月危機」への下馴らしなのである。実態を白日の下にさらして、菅を追い詰め、最後には予算関連法案否決で息の根を止める、という最終目標への段取りを踏んでいるのだ。その面で、谷垣も、山口も、問題点のクローズアップに成功している。とりわけ谷垣が「民主党のマニフェストの基本構造は、消費税率の引き上げをやることになっていない。カド番に立ったから、野党も一緒になって八百長相撲にのってくれ、といわれてものれない」と与野党協議を否定したのは、よほど練りに練った言葉であろう。
「マニフェスト違反の共犯になれ、とは冗談ではない」と併せて、一般国民の“腑に落ちる”表現であろう。解散要求に対して、菅は「イギリスでは任期4年の仕事を見て、国民の信を問う」と、かわそうとしたが、いまどき欠陥だらけの欧米民主主義などモデルにしようとしても、説得力がない。菅の「議論もしないで、まず解散では、国民より党の利益を優先させている」という反論も、一見素人受けする主張だが、いま問われているのは、政権の政策の原点であるマニフェストの欺瞞である。欺瞞を原点にした国家予算の是非を問うには、解散か、総辞職しかないではないか。野党が党利党略なら、政権側は個利個略だが、それはそのままでよいのか、ということになる。
総じて、自公が攻めに徹していて、菅は「秋波を送っても、もう無理」と悟ったのか、けんか腰の反論をして、ガチンコ勝負となった。しかしマニフェストの「破綻」は、野党が指摘しているとおり明白であり、菅は「9月に見直す」と発言したが、破綻がなければ見直す必要もないではないか。また自公両党党首が、大局において足並みをそろえた意味は大きい。予算関連法案の参院否決への態勢は固まったことを意味する。その意味で追い込んだ野党と、追い込まれた菅の対比が、明白に出た党首討論でもあった。折から、筆者が前回9日の解説で指摘したとおり、菅政権が苦し紛れに社民党抱き込みで、普天間予算の凍結を検討し始めたという。10日付朝日新聞トップの報道だと「予算関連法案の賛成を取り付ける狙いがある」とのことだ。ついに外交・安保上の問題を国内政治に利用するという“禁じ手”を使おうとするまでに至ったのか。本当なら日米関係度外視の愚策であり、首相・鳩山由紀夫がたどった“普天間の悪夢”を彷彿とさせる流れが生じよう。
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