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2011-02-03 00:00
(連載)エジプト情勢の鍵を握るムスリム同胞団(2)
横田 貴之
日本大学准教授
また、ムスリム同胞団については、政党綱領試案をめぐる内部論議で、大統領の資格を「男性ムスリム(イスラーム教徒)」と制限していたことが明るみに出たこともある。人口の1割を占めるキリスト教の一派コプト教徒や女性の間には、「穏健を装って、結局はイスラーム化を進めるのではないか」との疑念も根強い。
同胞団は当初、デモを静観していたが、先月下旬以降にその勢いが増すのをみると、国際原子力機関(IAEA)の前事務局長エルバラダイへの支持を表明した。リベラルで国際社会からも受け入れられる同氏を担ぐことで、世俗派および国際社会からの反発を避けながら、「ムバーラク後」に自分たちの影響力を維持しようとの思惑であろう。実は、同胞団は、エルバラダイが昨年エジプト国内で政治活動を本格化させた当初から、緊密な協力関係を結んでいた。反政府勢力の取りまとめ役としてエルバラダイへ国内外の注目が集まるのを受け、同胞団は彼を担ぐことで、ムバーラク退陣要求への一歩を踏み出したのだ。
同胞団をはじめとする野党・反政府勢力は、すでに暫定政権づくりに向けた協議を始めている。幅広い社会的ネットワークを持つ同胞団が、重要な役割を担うことは疑いない。しかし、仮に政権の一翼を担うことになれば、国際社会との関係も、問題になる。たとえば、同胞団は公式にはイスラエルとの和平を認めていない。パレスチナのイスラーム組織ハマスは、同胞団の支部から生まれた。
イスラエルはもとより、欧米から拒絶されることも予想される。それを見越してか、最近の同胞団ウェブサイトでは、米国や国際社会に対する言及が増えつつある。同胞団英語ウェブサイトでは、「同胞団はエジプトが結んでいる条約を尊重することを確約であろう」との文言も登場した。過去半世紀にわたって歴代政権と闘ってきた同胞団にとって、今は非合法状態から脱却し、政治プロセスに参加する初めての好機である。同胞団の動向が今後のエジプト情勢を左右することは疑いなく、引き続き注視が必要である。(おわり)
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