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2011-02-02 00:00
(連載)エジプト情勢の鍵を握るムスリム同胞団(1)
横田 貴之
日本大学准教授
現在、中東の政治大国エジプトにおいて、ムバーラク大統領退陣を求める反政府デモが急速に拡大している。2月1日には、「百万人行進」と呼ばれる大規模デモが実施され、カイロで20~30万人以上、エジプト全土で100万人以上が参加したとも報じられており、ムバーラク大統領は窮地に追い込まれている。
エジプト情勢が混迷する中、同国最大の反政府勢力であるムスリム同胞団の動向に大きな注目が集まっている。長年の権威主義体制下で政党政治が停滞し、野党が育たなかったエジプトで、非合法組織とされながらも社会奉仕活動を続け、都市部で大衆動員が可能な唯一の組織であることが理由だ。
1928年、同胞団はスエズ運河に面した都市イスマーイーリーヤで創設された。シャリーア(イスラム法)の適用こそ公正な社会を生み出すとし、イスラーム国家の樹立が必要だと主張してきたが、暴力的な政権奪取には否定的であった。これまで、「イスラームこそ解決」をスローガンに社会の変革を目指してきた。歴代政権による苛烈な弾圧に耐え、診療所の運営やモスクでの読み書き教室など、貧しい人々への福祉活動を通じて支持基盤を拡大してきた。こうした社会サービスを十分に提供できない政権側が黙認してきた面もある。同胞団は1954年以降、非合法組織とされてきたため、その影響力を数字で測るのは難しい。米国の圧力もあって比較的自由に行われた2005年の人民議会選挙では、同胞団系の無所属議員が、定数の約2割にあたる88議席を獲得した。一般に、国民の20~30%が支持者だといわれている。
しかし、今回の反政府デモで、同胞団は前面に出ることを避けている。反政府デモを始めたのは、「4月6日運動」に代表されるように、フェイスブックなどネット上の呼びかけに応じた青年層である。彼らの多くは世俗的で、イスラームという宗教の価値を押し出す同胞団への嫌悪感が根強い。(つづく)
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