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2011-02-02 00:00
エジプトのフェイスブック革命の可能性と限界
大沼 瑞穂
東京財団研究員・政策プロデューサー
チュニジアの市民デモとそれに続く大統領の逃亡というニュースから1カ月とたたないうちに、中東最大の国エジプトに民主化の波が押し寄せています。ただそれは、「民主化」というにはまだぎこちないといった印象を受けます。人々は、宗教でも、政治でもない、フェイスブック革命ともいえるインターネット上での緩やかなつながりによってデモへと駆り立てられています。
このフェイスブック革命なる革命の中心となっているのが、エルバラダイ元IAEA事務局長といわれています。フェイスブック上でエルバラダイ氏を支持する若者が多くおり、12月27日には同氏がエジプトに帰国し、リーダー的存在に祭り上げられています。
しかし、エルバラダイ氏の頼りは、欧州各国やアメリカの支持をいかに取り付けられるかで、エジプト国内の野党勢力と結びつくことはなかなか難しいようです。野党のイスラム原理主義勢力は、エルバラダイ氏を欧州の手先として非難していたからです。国内での政治基盤がない以上、実態としての政治勢力をどう構築していくべきか、今後の手腕が問われています。またここで原理主義的な野党勢力と手を結ぶことは、結果的に欧州やアメリカの支持を得られず、国際社会での孤立と内部崩壊を招く危険性があります。
今後は軍部の意向が重要になってくるでしょう。しかし、情報統制のとれた軍部では、フェイスブック革命は通用しません。軍部でエルバラダイ氏を支持する勢力が生まれない限り、エジプトはますます混乱を極めていくように思います。さらに、他の中東諸国や中国にフェイスブック革命は広がるのか。こうした点にも注目していきたいと思っています。
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