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2011-01-28 00:00
(連載)国防費削減でアメリカの世界戦略は大丈夫か?(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
アメリカの外交政策には、数多くの挑戦が突きつけられ、政策形成者達は9・11後の安全保障政策の基本図を模索している。オバマ政権下では、テロばかりでなく、ロシアと中国の再大国化、核不拡散などの新しい問題がますます重要になっている。中間選挙からほどなくして、バラク・オバマ大統領はリスボンで開催されたNATO首脳会議に出席し、ヨーロッパの同盟諸国と世界の安全保障問題に対処するための「新しい安全保障」概念を話し合った。他方で、北朝鮮による韓国のヨンピョン島への攻撃によって、我々はアメリカの軍事的優位が世界の安全保障にどれほど必要不可欠かを思い知らされた。「新しい安全保障」のビジョンの名の下に、アメリカの国防力が性急に削減され、リベラル派やハト派が言うような「多極化された世界」や「アメリカの衰退」を喜々として受け入れるべきなのだろうか?
今日の安全保障の課題は、かつての冷戦期の対ソ封じ込め策のような単純明快な封じ込め策ではすまず、社会経済的な側面がますます複雑に絡み合っている。よって、アメリカ平和研究所は去る12月に刊行した四半期ごとの国防レビュー(QDR)で、「アメリカ政府は国防政策の実施に当たって『包括的なアプローチ』をとるべきで、連邦政府内での省庁間の連携を密にするだけでなく、中央と地方自治体、民間企業、同盟国、国際機関、海外の現地住民、そしてアメリカ国民とも連携してゆくべきだ」と提言している。またQDRは連邦政府各省庁の内部での縦割りを排除するようにと訴えている。
そうした切実な課題があるにもかかわらず、ロバート・ゲーツ国防長官と統合参謀本部議長のマイケル・マレン海軍大将は、1月6日に軍事予算の削減を公表した。「財政逼迫を考慮すれば、国防支出も聖域ではない」とゲーツ長官は述べている。米軍がアフガニスタンから撤退した後の2015年から、大幅な予算削減が見込まれるのは、陸軍と海兵隊である。海兵隊の水陸両用上陸車両は発注停止となった。また、イギリスのデービッド・キャメロン首相がクイーン・エリザベス級次期空母の艦載機に、より安価で航続距離の長いF-35Cを採用したため、F-35B垂直・短距離離着陸戦闘機の発注は延期された。 ゲーツ長官は、価格の高い装備への支出を削減する一方で、無人の航空機と舟艇の他に、長距離爆撃機への支出を増額した。
国防費削減に関して、ジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツ高等国際研究大学院のトマス・マーンケン客員研究員は、アメリカの国防費が「効率」の名の下に削減されてはならないと主張する。マーンケン氏は、ゲーツ長官の計画でF-35Bの発注延期の他に、陸軍の新型地対空ミサイルや海兵隊の戦闘車両といった高価な兵器の開発が破棄されることについては、賛成している。マーンケン氏は他方で、西太平洋での中国の軍事的野心を抑止するためにも、次世代爆撃機やバージニア級攻撃原潜の開発配備をもっと進めるべきだと主張している。(つづく)
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