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2011-01-28 00:00
(連載)オバマ米大統領の一般教書演説を聴いて思う(2)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
一般教書演説で示された今後の方針を要約すると、(1)失業率改善に向けて仕事を生み出す、(2)赤字・負債について将来への責任を果たす。そのためにも5年間、政府の出費を凍結する、(3)法人税の引下げを図る、(4)原油依存からクリーン・エネルギーに変換する(5)科学、数学、工学、技術、の向上を目指す、(6)確実な人、物、情報の流れを可能にするため、高速鉄道、ハイスピード・インターネットの整備と強化を目指す、(7)不法移民に対処するため、両党が協力して境界線を保護し、法律の強化を図る、(8)医療保険改革法について、改善すべき点は改善する、(9)アフガニスタンに駐留している兵士の帰国を7月から開始する、などである。
高い失業率の問題に関し、歴史上、鉄道の建設が経済発展の原点であったことにふれ、道路や橋の修理などの建設分野にもっと仕事を増やし、25年以内に80%の米国人が高速鉄道にアクセスできるようにする構想を打ち出した。また、財政の問題に関し、G.W・ブッシュの永久減税法の延長について「2%の金持ちの減税を永久的に行う余裕はない」ことを明確に述べた。教育の分野では、韓国で教師が尊敬されている点に留意し、米国が高校中退率の高さや科学・数学の分野で遅れている点を指摘した。「今後10年間で増える仕事の50%は、高卒以上の教育を必要とする職業分野になる」とし、科学、数学、工学、技術の分野で、新たに10万人の教師の育成と導入を行うなど、学業成果が世界で劣る科学や数学の向上を重視し、技術革新の重要性を強調した。
移民問題については、不法移民流入を防ぐため、境界線の警備の強化を支持する一方で、不法移民の子ではあっても、米国で高度な教育を受けている若者については、その将来を保護する声明を行い、憲法を支持する立場を明確にした。オバマ氏は「才能もあり、米国の国旗に忠誠をつくしている若者は、国を豊かにする」と考えており、「国外追放して、米国と競争する立場に追いやるような意味のないこと」をするより、研究分野や新たなビジネスの開発に貢献させる方が賢明であると述べた。「国外追放するのはやめよう」と呼びかけ、オバマ氏の移民問題に対する立場を明確にした。医療改革法に関しても、下院の共和党議員がこの法の撤廃に投票し、下院で可決された事実があるにも関わらず、「この医療改革法には問題があるという噂を聞いている」と柔らかい表現で切り出し、「改善できる点は共に改善する」と述べた。また「保険会社がすでに病状がある個人の保険加入を拒否する、ような状況には後戻りできない」と明言し、特に複数の個人の例に焦点をあてて訴えた点は、参加者に共感を与えたようだ。
総体的には、今後の方針に関して、重要な面で明確かつ詳細な説明に欠けていた。特に、赤字や負債減少のために、どのように出費を凍結するのか、納得できる具体案は提示されなかった。高速鉄道や道路・橋の整備などの社会基盤構想は、政府が民間企業を雇って投資するため、財政削減の声明に矛盾している。クリーン・エネルギーに関しては「2015年までに原油の依存をやめ、米国を電気車であふれる最初の国にし、2035年までに80%の米国家庭の電気供給はクリーン・エネルギーに変えることを新たなゴールにする」などの具体案を述べた。オバマ氏は、2008年の大統領選のときからクリーン・エネルギーの公約をしているが、本人の在職中にどのような取り組みをするのかは明確にせず、この件では議会に押し通す能力、または決断力に欠けていることを示唆した。(おわり)
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