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2011-01-27 00:00
(連載)オバマ米大統領の一般教書演説を聴いて思う(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
1月25日に行われたオバマ大統領の一般教書演説をテレビで一部始終聞く機会があった。アリゾナのツーサンで頭を撃たれたが、奇跡的に一命をとりとめ、現在リハビリ中の女性下院議員ゲイブリオ・ギフォードの椅子の空白が象徴的であった。オバマ大統領は、これまで信念のために激しい戦いをし、国を分裂させたてきたことが、ツーサンでの悲劇となったことを冒頭に述べ、今後は家族の一員として人種や信念の違いを超え、共通の希望と主義のもとに結束していくことの重要性を訴えた。総体的な印象として、大統領の言葉や表現などは一貫してソフトで、楽観的であった。表現の選択が慎重であり、一切攻撃的な発言がなかった点は、最近政治の分野で辛らつな言葉使いが目立ち、冷静さを取り戻すべきとの批判があったことが、背景にあると感じた。
一般教書演説と翻訳されている英文は、『State of the Union Address』と呼ぶが、まさにユニオン=団結の響きを思わせるほど、大統領はこのスピーチで「共に」の用語を頻繁に使い、責任を共に分かちあい、団結と協力を基本に、先に進むことの重要性を強調した。従来、中央から分離した右側又は左側が共和党または民主党の座席に指定されていたが、今年から共和党も民主党もお互いに隣あわせの席でミックスした座席配置に変わっていた点は、そのことを反映している。
また、オバマ氏は、2008年の大領領選前と比較すると、いろんな点で変わったという印象があった。当時は、民主党からの大統領候補というイメージが鮮明であったが、今回セントリストのイメージを前面に出していた。例えば、以前は法人税引下げを政策に掲げていなかったが、今回は「米国の法人税は世界で最も高い」と述べた。また規制緩和もほのめかし、「米国民の安全性を保護する点では法律を強化するが、そのためビジネスに必要以上に負担になるような規制は見直す」との発言は、昨年まで「オバマ氏は歴史上ビジネスにもっとも辛らつな大統領である」と批判されていたことへの反動でもあるのか、両党の政策の中間的立場をとる表明が顕著であった。
また、中国、インド、韓国も世界の競争に頭角を表してきた現状や、これらの国が教育、特に科学や数学に力を入れ、新たな技術研究分野に投資していることなども語った。特に、全ての面で米国をしのぐ勢いで体力をつけてきた中国をかなり意識した点も目立ち、それでも「米国は世界でもっとも豊かな国であり、国の強さは、常に希望を失わないことである」と、米国民を鼓舞した点も印象的であった。(つづく)
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