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2011-01-24 00:00
(連載)米国の売上税の現状と日本の消費税について(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
今月中旬、ハワイを訪れる機会があり、日本人の観光客の多さに驚いた。17年前旅行した時より、日本人観光客が増えたような印象を受けた。特に有名なショッピング街には、日本人の若者の姿が目立ち、世界から訪れる観光客の40%位は日本人であるという印象を持った。日本は長い間、不景気で失業率も高く、大卒でも就職困難が懸念されている状況を認識していた私には、意外であった。おそらく、現在の円高・ドル安が人気の高いハワイへの旅行を促進したのだろう。この状況は、日本国内での消費も伸び、景気低迷状態から少しずつ脱出している兆候であると信じたい。
現実的には、日本は根本的な経済的低迷構造の問題を抱えていると思う。日本は消費型ではなく、貯蓄型の社会であるという点も、長期経済低迷の要因の一つであると考える。もちろん、ある種の国民貯金は、国の財政を支えてきた事実もあるが、貯蓄型の社会になった要因には、歴史的、地理的、人口動態的な問題があると思う。原爆で焼け野原と化した戦後の日本、地震大国日本の関東大震災によるショックなど、いざとなると預金だけが頼りになることを体験している。更に1990年代以降の終身雇用制や年功序列制の崩壊など、様々な不安材料が溢れ、急速に預金志向が定着していった。現在では、家計貯蓄の低下や財政赤字に加えて、少子高齢化よる年金制度の不確実性、人口縮小による不動産価値の減少による土地神話の崩壊など、問題が山積している中で、日本政府の経済活性化の取り組みに関する最重要課題には、消費税引き上げ問題もあるようだ。
2006年頃から、アメリカの経済学者は、日本が「貯金危機」に直面したことを指摘するようになっている。ハーバード大学経済学部の教授で、レーガン政権時代に大統領経済諮問委員会の委員長を務めたマーチン・フェルドスタイン氏は、2010年9月25日の論文「日本の預金危機」の中で、2004年の後半位までほぼ世界一の預金国であった日本が預金危機に直面し始めた最大の理由を「主な預金者である労働人口より、定年退職者の人口の方が増えていることにある」とし、「前世代に比較すると、最近の日本の若者は、将来の事を心配するより、現在の消費の方に関心がある」との世論調査をもとに、「貯金大国日本の伝統は衰えた」と述べている。
フェルドスタイン氏によると「日本の一世帯の預金率は、1990年代の終わり頃までには5%まで下がり、2009年には2%を若干上回る程度までに低下した」ということだ。また、「同時に、財政赤字はこの年の国内総生産GDP比で7%を越すようになった」としている。「家計預金の減少と国の財政赤字が重なった状態では、通常なら他国から借金せざるを得なくなる」とし、そのような状況でも「日本の企業だけは預金率が高く、2010年だけでも1750億ドルを他国に資金貸付けしている」とも述べている。しかし今後の展望については、「このような状況は、今後も長年続く可能性がある一方、利息率上昇や日本企業の貯蓄減少のリスクがあり、現在の黒字状態にも終焉がくる」と述べている。この場合の黒字とは、おそらく、輸出による企業収益と考えられる。(つづく)
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