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2011-01-20 00:00
(連載)米側の前原外相「過大評価」を懸念する(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
普天間移設問題の早期解決は、日米関係にとって重要なカギであることに違いはないが、日米同盟の課題が普天間問題だけではないことも疑いのない事実である。もちろん、日本側が普天間移設問題に誠実に取り組まなくてよいという話には決してならない。しかし、普天間問題を巡って日米関係がスムーズに行かないことは、日米両国のみならず、日米同盟がアジア太平洋地域の公共財であることを考えれば、地域の各国にとっても損失である。
中国の冒険主義的な動きを加速させた原因の一つは、日米関係が冷え込んだことである。その意味で、今回の外相会談が「同盟深化」を優先して、普天間移設問題をいわば後回しにしたことは、現実的な方向性であると評価できる。もう一つの解釈としては、米側の海兵隊のグアム移転へのモメンタムが低下している可能性もあるが、それならそれでも構わない。
米国側の前原外相に対する信頼は、かなり高いようである。ただ、逆に、それが過大評価ではないかという懸念は残る。前原外相は、今回の訪米でも、ワシントンの著名なシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、「一部の諸国に見られる不透明な軍事費の増大は、地域の緊張を高める潜在的な要因となっている」「覇権の下ではなく、協調を通じてアジア太平洋地域全体を発展させることが、各国の長期的利益と不可分一体である」と述べ、中国の軍拡に懸念を表明した。前原氏は、米国ではこのように勇ましいことをよく言う。
それが米国の信頼を得ているのだろうが、日本に戻ってくると、トーンダウンしてしまうことが多い。さらに、民主党政権は閣内の統一がとれていない上に、前原氏の政府・与党内での政治基盤は強固ではなく、前原氏の見解が内閣の見解であるとは言い切れない点がある。菅首相と対立している小沢一郎氏やその一派は「菅内閣は米国追随である」と批判しており、ひと波乱ないとも限らない。再び米国を裏切るようなことになれば、そのダメージは極めて大きい。(おわり)
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