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2011-01-20 00:00
小沢に翻弄され、一敗地にまみれた岡田
杉浦 正章
政治評論家
自ら「政治の世界の父」と“賞賛”するだけあって、政治倫理審査会をめぐる駆け引きで、幹事長・岡田克也は元代表・小沢一郎に一敗地にまみれた。あれほど「国会前にやる」と断言していた政倫審への小沢招致の国会開会前議決を断念せざるを得なくなったのだ。根底には形式や規則にとらわれて応用・融通が利かない岡田の政治家としての限界が垣間見える。野党の反発を考慮してのことのようだが、国会開会中となれば、議決はなおさら困難となるわけであり、厳しい立場に立たされた。
ルーピー・鳩山由紀夫から「議決しようとしたら、野党に反発されて、国会審議に影響が出るというのであれば、滑稽で、本末転倒だ」とばかにされるようでは、岡田も形無しだ。岡田の政治手法は、自ら理論構築して、それに突き進むやり方が目立つが、今回は野党の出方を見誤った。岡田は、小沢問題が野党の総攻撃の対象となると判断し、政倫審で議決して、あとは小沢の答弁任せの構図を描いたのだ。ところが、野党は「岡田のアリバイ作りに手を貸す必要はない」と、議決不参加を表明。最初の判断が間違っていたのだ。岡田が「議決だ」と息巻いている1月16日の段階で、小沢は「私の問題で国会審議をどうのこうのということは、野党も考えていない」と発言している。とっくに野党の情報を入手し、その出方を読んでいたのである。
加えて岡田は、先の先を読んだ根回し型政治家とはほど遠い。政倫審の委員を「脱小沢系」に差し替えようという動きも頓挫している。そもそも一会派の党内抗争のために、国会の委員会のメンバーを差し替えるなどということは、異例中の異例。最終的に許可が必要な衆院議長・横路孝弘も、さすがに慎重論であり、民主党内にも「やり過ぎ」との声が強い。また小沢の「出る」といいながら「出ない」という巧妙な“やり口”に翻弄されてもいる。「予算成立後に出る」などという発言は、「出ない」と言っているのに等しく、小沢の座右の銘「百術不如一誠」(百術は一誠に如かず)がちゃんちゃらおかしくなるが、岡田はこれにもやられているのだ。つまり「出ると言う者に、出よと議決する矛盾」が生ずるのである。小沢は19日夜も鳩山らとの会合で、「出席すると言っているのに、執行部が議決するというのであれば、好きなようにしたらいい。どちらが正しいかは世論が判断する」と、開き直っている。世論は常に「小沢は正しくない」と判断するが、党内小沢グループは「正しい」と判断する。
野党の反発など世論の支持を背景にはねつければよいのだが、新任の国対委員長・安住淳がうろたえて岡田に「国会審議に影響するので、議決は延期にして欲しい」と泣きを入れ、岡田が議決を先延ばしにした。政倫審の入り口でこの体たらくでは、年頭記者会見で首相・菅直人が「小沢氏は出処進退を」と離党・議員辞職も含む対応を求めた「小沢切り」構想は、至難の業となろう。焦点は「強制起訴」が行われた時点でのマスコミの総反発という機に乗じて、「小沢切り」がどこまで出来るかどうかだが、「ロボコップ」岡田では心もとない。
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