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2011-01-18 00:00
(連載)政変と混乱で幕を開けた2011年の中東情勢(2)
溝渕 正季
日本国際フォーラム研究員補
ブッシュ(子)米政権といわゆる「ネオコン」勢力が、楽観的にも思い描いていた理想の「物語」とは対照的に、中東において「民主化」を達成することは極めて困難な事業であり、長く険しいプロセスを要する。とりわけ、宗派や民族によって分断された国家であれば、なおさらだ。「戦後イラク」にも同じことがいえるが、レバノンにおいては、独裁的な強権支配が国内の不和や断裂や不満に対して「とりあえずの蓋」を提供してきたのであり、そうした「蓋」が排除されて以降、同国は混乱の淵に沈みこんでしまった。
果たして、チュニジアは、イラクやレバノンの二の舞を演じるのを防ぐことができるのか。また、親欧米勢力と親シリア・イラン勢力によって引き裂かれたレバノンは、再び立ち直ることができるのか。引き続き、注目されよう。
加えて、2011年も引き続き、イスラエル/パレスチナ問題やイラク情勢、アフガニスタン情勢などが依然として流動的であり、いずれも予断を許さない状況が続いている。イランの核問題も、徐々に緊迫の度合いを深めつつある。中東地域にとっての2011年は、空前の変化の年を迎えることになるのかもしれない。
そして、最後に指摘しておくべきは、われわれ日本国民はこうした中東情勢と決して無関係ではないということだ。我が国はエネルギー供給において、石油の89.9%、天然ガスの23.9%を中東諸国に依存している(2009年統計)。エネルギー供給源確保の観点から中東の重要性を語ることに異論を述べる者はいないであろう。また、それに加えて、日米同盟が我が国最大の戦略的資産であるということに異論を挟む者もいないであろう。そうであるがゆえに、我が国は、米国主導の―ー―今では「八方塞がり」とも表現できる―ー―対中東政策に、今後も否応なくコミットしていかざるを得ないのである。その際にわれわれは、米国による中東政策の内実を注意深く見極めると共に、中東の政治情勢を冷静に分析する必要があるだろう。中東問題は、われわれにとっても決して「対岸の火事」で済まし得る問題ではないのだ。(おわり)
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