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2010-12-28 00:00
社会科学系での教員同士の国際交流の増大を望む
池尾 愛子
早稲田大学教授
去る10月20日頃から約1ヶ月間、中国のある大学の大学院生たち5人が、国際交流基金の援助を得て日本に滞在していた。日本国内の受入先は都内のある大学であったが、大学院生たちは早稲田大学をはじめ幾つかの大学を訪問して、交歓し、教員抜きで学生たちだけでの歓談も楽しむことがあったようだ。さらに、靖国神社など都内の有名な施設を見学し、遠距離バスを用いての小旅行も楽しんだようだ。受入先や早稲田以外では、どういう人たちに会ったのか分からないが、様々な交流を楽しんだ様子で、大変よかったと思っている。日本訪問を満喫したあと、無事に帰国して、所属大学のある都市に到着したとの連絡が入ったときには、大いに安堵した。
私の所属する大学院では、受入れ留学生の数が急速に増えている。昨年度多少増えていたようなのだが、9月入学の制度のある研究科では、今年9月にぐっと増加したようである。理系の教員からはかねがね、「理系や人文系では国際交流が進んでいるのに、社会科学系の国際交流が進んでいない」とお小言をちょうだいすることがあった。社会科学系で国際交流が進まない理由には、科学観や世界認識が大きく異なることがあるだろう。
とはいえ社会科学系でも、研究を越えて、教員同士の国際交流も必要になってきているように思われる。もちろん、専門の基礎教育についても情報交換が必要である。それ以外に、ヨーロッパ大陸諸国、イスラエル、中東、東南アジアの国々について、一般的にどのように教えられているのかを知りたいと思うことがある。宗教が絡むと教えにくいので、ほとんど教えていない、という可能性もあるのだろうか。
中国での会議において、人民元の国際通貨化を語る人々に出会ったけれど、特定通貨への釘づけ問題を質す機会はなかった。確かに製造業では為替レートが安定していることが望まれている。他方で1973年に一部の国々で変動相場制が導入されて、金融ビジネスの幅が広がった。東アジアでは、韓国ウォンや日本円がその年に新しい為替制度に移行し、1980年頃に台湾ドルがフロート制に移行した。韓国と欧州連合(EU)の間で自由貿易協定(FTA)の議論が続いていることもあり、ユーロ圏などヨーロッパの通貨事情を白紙のままにしては、東アジアでも国際通貨問題は語れないはずだ。社会科学には経験科学としての側面が色濃く表れる分野があり、その場合には種々の事例や近年の歴史から多くのことを学ぶことができるように思われる。
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