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2010-12-19 00:00
NATOとナチス・ドイツは同じではない!
岡田 章一
元会社役員
12月18~19日付けの本欄に掲載された小山清二氏の連載投稿「『NATOと日本の同盟』とは?」を拝読した。「先日、都内某財団で『NATOと日本:日本は米欧同盟とどう協力していくか』と題するシンポジウムが開催され、参加した」として、「欧米からの参加者の本音は最後まで見えなかった」として、疑心暗鬼され、これは、第2次世界大戦前の日独防共協定の提案と同じで、日本は結局は騙されて、捨てられるのではないか、という趣旨の議論を展開しておられる。
「NATOと日本の同盟」という問題提起は新鮮だが、その前に幾つかの事実関係だけは正確におさえておく必要があるのではないか。そうでないと、議論があまりにも奔放不軌で、無責任になる。まず、憲法第9条で「集団的自衛権を行使できない」と宣言している日本に同盟関係(有事の際の来援)を約束してくれる国は、世界中で米国しかいないという事実である。そのことを忘れて、日本が「普通の国」であるかのごとき錯覚を前提にするなら、すべては空論である。
しかし、小山氏の議論の最大の事実誤認は、今日のNATOを第2次世界大戦前の日独防共協定と同一視していることであろう。第2次世界大戦前のドイツは、世界の平和と秩序の破壊者であった。今日のNATOは世界の平和と秩序の維持者である。日本国際フォーラム理事長の伊藤憲一先生はその著『新戦争論』(新潮新書)で、これを「不戦共同体」と呼んでおられる。日本も、日米同盟をつうじて、そのような「不戦共同体」の一員となっていることを忘れてはならない。
ただ、日本には憲法第9条の制約があり、そのような「不戦共同体」への参加や貢献を限定されている。そのことを伊藤先生は「消極的な平和主義」と呼び、日本は「より積極的な平和主義」に転換して、世界の平和と秩序の受益者たるだけでなく、貢献者にならなければならない、と指摘しておられる。その観点からいえば、「NATOと日本の同盟」は現時点では空論だが、少しでも世界の平和と秩序の維持のために協力関係を強化するということなら、それは現在の日本にもできることであり、「シンポジウムの欧州側参加者」が求めたという「協力関係の強化」とは、そういう意味ではなかったのか。であるとすれば、それにさえ「疑心暗鬼」で対応するとは、日本人がいかに世界の潮流から遊離しているかを示すことになろう。
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