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2010-12-15 00:00
軽々しく「ウィキリークス」の肩を持つわけにもいかない
石川 純一
フリージャーナリスト
ベトナム戦争の極秘報告書『ベトナムにおける政策決定の歴史:1945-68年』全47巻は、米国の『ニューヨーク・タイムズ』、『ワシントン・ポスト』両紙にリークされて、広く報道されるところとなり、ペンタゴン・ペーパーズ事件として、ニクソン米大統領辞任の遠因の1つとなり、さらには米軍ベトナム撤退につながっていった。この情報漏えいを想起させる事件が、年の暮れになって発覚した。英紙『ガーディアン』の電子版が12月2日、内部告発サイト「ウィキリークス」から入手した米機密公電と称するものを、公表したからである。「テロとの戦い」の主戦場となったアフガンにおいて、その政治家や宗教指導者に対しイランが幅広く資金支援し、タリバン兵の訓練支援もしているという。アフガンのカルザイ大統領の側近の米外交官に対する証言である。
この公電によると、イランは、アフガン大統領府関係者や各省庁の高官、国会議員、多数の宗教指導者、宗教学者に幅広く資金を渡しているという。折しも3日には、オバマ米大統領がアフガンを電撃訪問し、カルザイ大統領と会談したが、上記の米機密公電流出事件について突っ込んだ話合いを行ったのではないかというのが、米メディアの共通した憶測だ。
加えて、クリントン米国務長官は3日、米機密公電の不正入手容疑で拘束されている米陸軍のマニング上等兵について「訴追されるだろう」との見通しを示した上で、問題のサイト「ウィキリークス」に情報を流した可能性についても、捜査が続いているとの認識を示した。歴訪中のバーレーンのマナマで語った。クリントン長官は、名指しを避けながらも、「軍の情報部門に勤務していた兵士」との表現でマニング上等兵に言及。共犯者の存在も含め、国防総省が、今回の事件を「外交文書の不正入手」と認識していることを公言し、マニング上等兵が訴追されるとの見通しを示した。同上等兵はイラク駐留米軍基地で情報担当として勤務中に外交公電を不正入手した疑いで、米連邦捜査局(FBI)などが今年5月下旬に拘束している。
ペンタゴン・ペーパーズの場合は、米歴代政権の対ベトナム政策が不人気の極みで、米国民やメディアなどがこぞって漏洩事件を擁護し、それがニクソン失脚、米軍ベトナム撤退につながっていったが、今回の場合はちと状況が違う。アフガンには米軍のほかに、同じ協力体制にある北大西洋条約機構(NATO)軍も駐留している。余波は同盟諸国に広がる気配を見せており、米国に説明責任があることは論を待たないが、軽々しく「ウィキリークス」の肩を持つわけにもいかない状況である。
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