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2010-11-26 00:00
(連載)米政治に多大な影響力をもつ2つの保守勢力(3)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
同性愛者の結婚に関し、ソーシャル・コンサーバティブの圧力が強かった当時の前クリントン政権は、共和党多数派の議会が承認した結婚防備法、通常ドマ(DOMA)と呼ぶこの法を、1996年7月通過させた。この法は「結婚とは、一人の男性と一人の女性の法的結合である」とし、同性愛者間の結婚を禁じることを宣言した。また、この法は各州にも同性愛者間の結婚を拒否する権利も与えた。故に、同性愛者は政治的及び経済的特権を奪われ、異性愛者のカップルに保証されているのと同じ権利を有しないことになった。
このような慢性的社会問題に加えて、現在議会で論争となっているのは、同じく、前クリントン政権で成立した「Don’t Ask; Don’t Tell」(以下、DADT)と称する法である。これは、同性愛者である事を内密にする条件で、軍隊への入隊を許可する法律である。軍隊の組織内及び敷地内での性行為は、犯罪であるため、過去15年間で、約14、000人の兵隊が解雇されている。最近の議会での争点は、この法を維持するか、又は撤廃するかであった。全てではないが、基本的には、共和党は「部隊の結束を害する」という理由で、維持することを主張している。一方、民主党は、個人のライフ・スタイルに関係なく、国に奉仕するものは誰でもオープンに受け入れる事を可能にする為、撤廃を呼びかけている。
21日の『CNN.com』によると、アメリカ統合参謀本部議長のマイケル・マレンは「米国海兵隊は、DADTの撤退に全面協力する」と述べている。この法が撤廃された場合、予算や戦略などを含むその他の状況にどのような変化や影響があるか、包括的な報告のための検討が統参議長マレン及び国防長官ロバート・ゲイツにより実施されている。多くの議員は「この報告次第で方針を決める」としており、大多数の共和党議員、特に、ユダヤ系の上院議員は、撤廃に反対している。オバマ氏もこのプロセスを重要視しているが、キリスト教信者である本人は、同性愛者問題には保守的なのか、この課題の取り組みには積極的な姿勢を感じられない。一方、複数の情報筋によると、一般国民の約50%は撤廃を支持している。
要するに、アメリカ政治の性質上、重要な点は、富豪層や宗教指導者が直接政治に干渉する事である。特に、避妊、同性愛者間結婚の問題などについては、宗教の指導者が長年にわたり政治家に圧力をかけている。ムーブメント・コンサーバティブは、現在、未解決の減税問題に関しては、一歩も譲歩しない姿勢を保っている。ソーシャル・コンサーバティブのグループは、当然、撤廃は支持していない。彼等は、信仰、特にバイブルの教えに基き、同性愛者の存在そのものを否定している。この二つの保守勢力を代表する多様な組織からの様々な圧力が、アメリカ政治の分裂を促進する要因になり、一般の国民にとっては甚だしいジレンマとなっている。(おわり)
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