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2010-11-24 00:00
(連載)米政治に多大な影響力をもつ2つの保守勢力(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
アメリカの政治は2つの保守勢力から大きな影響を受けている。一つは、ムーブメント・コンサーバティブであり、二つ目はソーシャル・コンサーバティブである。いずれのグループも愛国主義を掲げ、宗教的背景が異なる個人で構成されている。従って、両グループの政治的及び社会的イデオロギーは重複したり、異なったりする部分もある。これらの2つの保守勢力の圧力が、米議会の分裂傾向に拍車をかけていることは否定できない。上記2つの名称の特性を考慮し、本稿では和訳名称の使用は避けた。
ムーブメント・コンサーバティブは、政治家、特に共和党及び共和党議員を含め、メディア、シンク・タンク、出版社など、金力で、政治的権力を握ることを目的としている保守派の個人、グループ、又は組織の集合体である。主にビジネスを優先し、ほぼすべての保守派の政治理念を支持する立場をとる。つまり、政府の権限を可能な限り縮小し、税金を最大減に削減し、規制緩和を奨励し、労働組合に反対することによって、自由なビジネス環境を構築することを目指す。したがってビジネス市場に政府が介入することを最大限に阻止する。このムーブメント・コンサーバティブの主な関心事は、財政問題である。
現在、論争中の減税問題は、今年で期限切れになる、ブッシュ政権の富豪層も含む減税を維持させるかどうか、という点である。17日の『CNN.Com』の世論調査によると、このブッシュ時代の減税の延長を支持しているのは、国民のわずか35%である。大半が、前回の投稿で著者が述べた内容のオバマ氏の改革路線を支持している。一方、共和党は、このブッシュの減税法の延長を断固として主張している。富豪層又は多国籍大企業を含むビジネスの多額の減税は、即、米国内に雇用を増やす結果には結びつかない場合が多い。更に、徹底した減税の結果、赤字が膨大に膨らんだレーガン政権の失敗例もある。なぜ彼等が富豪層への減税にここまで固執するのだろうか?
アメリカのノーベル賞受賞経済学者、ポール・クルーグマンの2007年の著書、『The Conscience of A Liberal』は、歴史を通して、この疑問に答える手がかりを提示している。1970年代頃から、保守派の知識階級、裕福な個人、及び企業のリーダーは、保守派のシンク・タンクの組織化に投資するようになり、現在、メディア世論の形成に幅広く介入するシンク・タンク・グループが数多く存在するようになった事実を紹介している。中でも、「アメリカン・エンタープライズ・インスティチュートは1943年に発足し、保守派の富豪やその家族から大規模の企業献金を受けるようになった1971年から、著しく規模が拡大している。また、ヘリテイジ・ファンデーションは、アメリカのビール醸造会社クアーズや億万長者として知られる新聞社から現金を受け入れて、1973年に創設されており、大企業から巨額の献金を受け入れている」と述べている。また、「月刊誌『アメリカン・スペクティター』も基本的には上記のシンク・タンクと同様、大金持ちの献金で設立されているし、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の社説欄はサプライサイド経済学の主要代弁者になっている」とも指摘している。(つづく)
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